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北アルプスの山小屋で働く話16 北アルプスの山小屋で働く話16

放浪記 第四百五十七話
約2分 · 975字

初日

この小さな山小屋はまだ稼働していない。

小屋開きの準備中だ。

全ては小屋中の大掃除から始まる。

八ヶ月もの間、手付かずに置かれた小屋には埃が積もっている。

それを隅から隅まで箒で掃いて綺麗にした後に、全てを水拭きする。

掃除機などの電気を使う道具はここにはない。

ほとんどの作業が人力の手作業で行われる。

寝床

全てを綺麗にし終わった後に、客室の準備をする。

客室に使われる畳は、昔ながらのい草を使ったものではなく、プラスチック製のものに置き換えられていた。

湿気の多い山小屋では、プラスチックの湿気を吸い込まないところや、腐らないところが重宝されるようだ。

畳を整えた後は、屋根裏部屋の乾燥しているところに保管していた布団を下ろす作業に入る。

屋根裏部屋からおろし、外に運び、屋根に並べて干すという一連の作業は、たった二人で行うにはなかなかにハードなものだった。

次に数時間かけて乾燥させた布団を客室に運び込み、一つずつベッドシーツを取り付ける作業がはじまる。

うちの系列の山小屋で使われている布団は、山小屋の社長と登山道具の会社が共同開発したもので、小さく収納できつつも暖かく、寝心地もいいという優れものだった。

そして、その専用布団に合わせた専用シーツがあり、ピッタリと装着できるようになっている。

山小屋裏事情

ここで、山小屋の裏事情を暴露することになるが、このベッドシーツはシーズン前半に新品を取り付けて以降、シーズン終了まで取り替えられることがない。

シーツを替えようと思えば、ヘリコプターで運んで取り替えることは可能だ。

だがそこは、”山小屋だから”という特殊事情に甘えているようだ。

登山客も、ベッドシーツが臭うことに気づきつつも、”山小屋だから”という決め台詞に従い納得しているようだ。

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