北アルプスの山小屋で働く話23(放浪記464)

放浪記 #464 約2分 1,053字
目次

三人目

小屋開けから1週間ほどは僕と支配人のJさんの二人だけだったが、1週間ほど経ってついに三人目のKちゃんがやってくることになった。

Kちゃんは以前は山の麓にある同じ系列の温泉宿で働いていたらしいが、ついに念願かなってこの小屋で働く機会を得た。

僕は20代前半、Kちゃんは30代前半、Jさんは40代前半とバランスの良い組み合わせだ。

これから残り三ヶ月ほどをこの三人で共同生活してやり切ることになる。

真夏のピーク時にはさらに二人ほど参加するらしいが、基本は全てこの三人でこなさなければいけない。

到着

Kちゃんは8時間ほどの登山の末に山小屋へと辿り着いた。

標高差の激しい登山と、空気の薄さに喘いでいるが、特殊な環境と最高の景色に興奮しきっている。

Kちゃんは明るく快活でハキハキとしていて、この人となら三ヶ月一緒にいても問題はなさそうだと安心できた。

Kちゃんは女性なので特別待遇として扉の閉まる屋根裏部屋の大きなスペースを割り当てられた。

僕はといえば、キッチン裏の屋根裏スペースで、二畳半ほどのスペースと1メートルほどの高さしかない三角形のスペースを与えられた。

扉もない。

女性

今まで男二人で働いていた山小屋に女性が一人加わることで明るさが一気に増した。

僕たちはそれなりに清潔にしていたので、問題はなかったが、Kちゃんが加わることで、清潔感も大幅に増した。

清潔さではなくて清潔感だ。

山小屋特有の男臭い、汗臭いイメージは払拭しきれないが、そう言ったものを押しやる力がKちゃんにはあった。

その影響力は0%から33%に増加したので、計り知れないものがある。

僕は勝手な妄想で、独身のJさんと独身のKちゃんがカップルになったりしないかと考えていた。

この妄想は僕だけのものではなくて、系列の山小屋の従業員の多くがそう考えていたようだ。

男女が狭いスペースで共同生活すれば、そう言ったことは十分に起こりうる。

僕は余計なお世話の下世話な目で彼らを見ていた。

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