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ゴアに出会う話17 ゴアに出会う話17

放浪記 第百十四話 旅路の証人 限定
約5分 · 2,374字

ストロー紳士

この突如現れたオジサンの事をのちにストロー紳士と呼ぶことになるのには、それなりの理由があった。

僕たちがバーに着いた時にはオジサンはすでに大分出来上がっていた。

手にはウイスキーの小瓶を持っている。

おじさんは激しく酔っ払っている割には背筋が正しく、着ている服装も折り目のついたワイシャツにスラックスと礼儀正しい。

半パンとTシャツとビーチサンダルの多いゴアにおいては珍しい格好だ。

着ている服装は礼儀正しいが、砂ほこりがついていて、路上で寝起きしているのかと思わせるような汚れ方だ。

彼は酔っ払っている割には背筋正しく、礼儀正しい格好の割には汚れていた。

”おぼっちゃまくん”という漫画に出てくる”びんぼっちゃまくん”を知っている人は想像してほしい。

リアルびんぼっちゃまくんこと、ストロー紳士は胸ポケットに何本ものストローを入れていて、僕たちの熱いチャイにストローをさしてくれる。

彼はビールもストローで飲んでいるようだ。

僕たちは突如現れた全く訳のわからないストロー紳士に大爆笑した。

真面目にやっているようにも見えるし、ウケ狙いでやっているようにも見える。

時間はすでに夜中の4時くらいだろう、しかも平日。

一体こんなところで何をやっているんだか。

彼の正体は完全に不明だが、僕たちは彼のむちゃくちゃさに笑いが止まらなかった。

親切にストローをチャイにさしてくれた後に彼の演説が始まった。

キチッとした格好で、力強く演説する姿はまるでヒトラーのよう、否ヒトラーを茶化して真似するチャップリンのようだった。

僕には英語がほとんど理解できなかったので、何を言っているのかは分からなかったが、それでもむちゃくちゃな面白さはそのままだった。

もしかしたら英語じゃなくてヒンディー語の演説だったのかもしれない。

結局、彼が何者なのかは最後までわかることは無かったが、異次元級に面白い彼に出会えたことで、僕たちは大満足し、家路についた。

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