ゴアに出会う話4(放浪記101)

放浪記 #101 約5分 2,536字
目次

ジプシーのMさん

バイクをレンタルした僕たちは、隣村のアンジュナのレストランで働くドイツ人のMさんに会いに行った。

やはり彼は本当にここで働いているらしく、遊びに行った時にはウエイターの仕事をしていた。

給料は貰っていないようで、食事を自由に食べられるだけ。

どこで寝ているのかと聞いたら、ここだと言ってレストランの床を指差した。

にわかには信じられないが本当にそうらしい。

彼は本物のジプシーの血筋で、ドイツでジプシーの家庭に育ち、流れに流れてゴアにたどり着き、そのまま定住してしまったのだと言う。

ジプシーの歴史

当時の僕はよく分かっていなかったのだが、ここでジプシーという民族について少し解説したいと思う。

ジプシーとは放浪しながら暮らす特定の民族の総称で、詳細な歴史は謎に包まれている。

インドのラジャスタン地方の放浪の民が有名だが、エジプト出身の占いをする民も知られている。

結局の所、正体は不明だが、14世紀頃からヨーロッパ各地で放浪しながら暮らしているらしい。

職業は主にサーカスや大道芸やミュージシャンなどの他、泥棒や乞食、売春婦なども多い。

非常に独特な文化を持ちながら、西洋文明化されるのを徹底的に拒否して、頑なにシステムの外で生きている。

そんな彼らの態度は権力者に嫌われ、ナチスの時代には人知れず大量虐殺されたりしている。

彼らのシステム拒否は昔の話のみならず、現在でも続いており、学校や医療や福祉のシステムに一切属さず、依存しつつも独立した生き方をしている。

Mさんの生活

彼は放浪のジプシーの家庭出身で、なんの教育も受けておらず、システムには属していない。

長年放浪の旅を続けるヒッピーがジプシーを自称することがあるが、Mさんの場合はガチのジプシーだった。

彼は長年の放浪の旅ゆえか、悟ったようなところがあり、シンプルな日々の過ごし方に満足を見ている。

昼食時と夕食時に少しウエイターとして働く以外には、レストランのテーブルに着き、海を眺めながら巻きたばこをふかす。

家も金も名誉も快適な暮らしも恋人も、彼にはあまり意味がないようだ。

彼が、ここで働いている事で外国人の友人が遊びに来て、レストランにお金を落としていくので、彼らとしても重宝しているようだ。

彼はすでに8年ほど、ここで暮らしていて、平和で静かな日々を楽しんているらしい。

と言う事はビザどころかパスポートも無いのではないだろうか。

彼に、ゴアにはもうツーリストは来ないのかと聞いたら、そんな事はなくて来月のクリスマス前からハイシーズンが始まると言う。

やはり、今ゴアに人が居ないのは雨季が明けて直後だからのようだ。

彼曰く雨季のオフ・シーズンの方が景色が緑に満ちて綺麗だし、人が少なくて静かで良いという。

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