ゴアに出会う話9(放浪記106)

放浪記 #106 約5分 2,442字
目次

Fさんの自転車旅行

彼は僕が出会った当時から4年前に、既に4年ほどインドおよびアジアの各国を自転車で旅していた。

これはつまり僕が出会ったのが98年なので、1990年から旅をして1994年の時の話。

当時、海外へ旅行するなんてのはハワイやグアムへの旅行はあっても、インドへ行く人は圧倒的に少なかった時代。

情報なんて殆ど無いし、実際に行くのも至難の技、ましてや自転車旅行なんて簡単なことではなく、それを4年も続けるなんて並大抵のことでは無い。

この数年間自転車でインドおよびアジア各国を旅をすると言う感覚は、一般社会で普通に暮らしている人には到底理解しがたい感覚なのだが、ごく簡単に言うと、とてつもなく野生的で逞しくなる。

それと同時に筋力面、免疫面でも身体は恐ろしく強くなり、その強さ故か清潔感に関する感覚も大きく変わって来る。

数年にわたる自転車旅行は、どれだけ不潔でも病気にならない免疫力を与えてくれるのだ。

要するにインドのような国を何年も自転車で旅を続けると、自分でもびっくりするほどワイルドな風貌になると言う話だ。

事件

そんなワイルドな状況で、Fさんはパスポートと現金を盗まれてしまう。

当時はインターネットなども無い時代、いざという時にインドのような国だと、かなり大変なことになる。

Fさんは何とか日本大使館に漕ぎ着け、(文字通り自転車を漕いでたどり着いた)大使館の助けを求める。

インドの日本大使館はインドにいる日本人を助けるために存在している。

助けを求めて当然だし、助けられて当然だ。

だが、あまりにも汚い格好のFさんを見た大使館員は拒絶反応を起こしてしまい、まともに相手にせずにFさんを追い返してしまった。

追い返されたところでどうしようもないFさんは何度か大使館へ赴いて話を聞いてもらおうとするが、インド人ホームレスからのしつこい物乞いに慣れてしまった大使館員はFさんに対しても物乞いに対するものと同じような対応をしてしまう。

何度も助けを求めているのに、無下に扱われて追い返されてしまったFさんは激怒して、”もういい!お前らの助けなんか借りん。もうバビロンシステムの世話になんか二度とならん!”と社会からの脱出を宣言してしまった。

それ以降、社会からの逸脱を宣言し、ゴアでホームレスとして暮らしているという。

Fさんの話は面白いので次回の無料記事にも続けます。

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