自転車で沖縄へ向かう話12(放浪記506)

 

大分県

 

 

フェリーがたどり着いたのは大分県だ。

僕の人生で大分県と関わることはなかったし、大分県出身の人と出会ったこともなかったので、一切の接点はなく、全くもって未知の土地だった。

九州自体も初めてなので、新しい大陸へとやってきた感じで、期待に満ちていた。

 

 

四国の田舎具合からすると、大分の都会具合には驚かされた。

 

 

何も知らない身からすると、四国も九州もどちらも同じ大きさの島なので、そこまでの差があるとは考えていなかったが、街の発展具合には大きな差があった。

 

 

フェリーが到着したのは午後、まだキャンプをするには早いので、とりあえず街の外へ出て、自然の多いところでキャンプすることを考える。

この旅はとにかく南へ向かうのが目的なので、フェリー乗り場から国道に沿って南へと向かった。

街からそう遠くないところに人のいない山林があるので、キャンプするには都合が良さそうだ。

 

 

 


ラーメン屋

 

 

日が暮れかけてきたので、ラーメン屋に入ることにした。

看板にはちゃんぽんの文字が大きく書かれている。

いかにも九州らしい看板に引き寄せられた形だ。

 

 

僕は基本的にはお酒類は飲まないのだが、この時はちゃんぽんの気分に合わせて瓶ビールの小瓶を注文した。

 

 

ビールがテーブルに届いたあたりで、重要なことに気がついた。

財布には限られたお金しかなくて、ビール代が払えないのだ。

 

 

そのことを慌てて店長に伝えて、ビールをキャンセルできないかと尋ねたが、すでに瓶の蓋を開けているからもう遅いと言う。

さらにちゃんぽんもすでに作っているので、そちらもキャンセルできないという。

 

 

さらには、この店長は僕のことをお金がないと偽って只食いしようとしている旅人だと疑っているようだ。

 

 

四国では、旅人として通りすがると、無条件で良い扱いを受けてきていただけに、この待遇には腹の立つものがあった。

だが、お金を持たずに店に入ってきたのは僕の責任なので、文句の言いようもない。

 

 

仕方がないので、急いで食べて銀行のATMへとお金を行くことにした。

 

 

おそらくちゃんぽんの味は美味しかったのだろうが、おいしさを感じるよりも、店長の融通の効かなさと嫌味な態度に腹を立てていたので、気まずい味しかしなかった。

 

 

 
 
 

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