サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話4(放浪記392)

 

ガンドルフさんの願い

 

誰一人として実際に何が起こっているのか分からないまま共同生活が始まった。

おそらく誰一人としてこれと言った目標はなかっただろう。

 

だが、今になって思うとガンドルフさんには思うところがあったようだ。

彼はこの機会を利用して、自然発生的にコミュニティのようなものを作りたかったのかもしれない。

だが、彼はその意思を伝える事はなかったし、それぞれがただありのままでいることを奨励していた。

 

実際に何も言わないのである。

ただ笑顔を振りまき、知識と愛を共有し、それぞれに対して優しく受容的な態度で接する、ただそれだけだった。

 

 

貧乏

 

集まってきた仲間達にも特にコミュニティ生活をしたいという意思があったわけではなく、ただなんとなく面白そうだし、ガンドルフさんのことが好きだから集まって来たというだけだ。

 

ただ、多くの人に共通していたのはお金がないということ。

 

唯一普通にお金を持っていたのは、ガンドルフさんとYくんだけだ。

そこに続いて僕が10万円ほどの貯金を持っていて、モロッコ人のFさんがモロッコの収入レベルで普通の貯蓄を持っていた。

それ以外は皆、すごいレベルで文無しだった。

 

僕のパートナーのIちゃんは所持金が1万円を切っていたし、ドイツ人のM君もフランス人のCさんもIちゃんと大差ない。

モロッコ人のAくん、オーストラリア人のOちゃん、イギリス人女性のRさんは最初から完全な文無しだ。

 

 

Oちゃんの度胸

 

だが、ここでずば抜けているのはOちゃんだ。

 

彼女はフェスティバルに来て結果的に文無しになったのではなく、来る前から文無しで、道中もずっと文無しで、この後も文無しで旅を続けるつもりだと言う、根っからの文無しマスターだった。

 

彼女はずっとお金には触れずに自由に旅を続けているらしく、その自由さを気に入っていて、お金を持っていないことを全く苦にしていない。

 

 
 
 
前の記事 | 次の記事

 

 

当サイトは皆様の共有のおかげで成り立っています。

シェアをよろしくお願いします!

 

ホーム » 放浪記 » サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話4(放浪記392)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です