Yくんの服
まず最初に驚いたのが、Yくんが来ていた服だ。
ただのトレーナーのようなものかと思いきや、特殊素材でできており、薄くて軽くて頑丈で、何よりも相当に暖かい。
僕はそんな知識など何もないから、Tシャツを12枚重ね着して寒さを凌いでいたが、Yくんの装備を知ってからは無性に上質の山道具が欲しくなった。
僕が12枚ものTシャツを持っていた理由は、たくさんあれば汚れてもすぐに洗濯しなくても他のTシャツがあるから大丈夫、と言うなんとも情けない理由からだった。
その反面、Yくんの特殊素材は、洗ってもすぐに乾くし、半乾きでも体に身につけることで、体を冷やすことなく乾いていくという、次世代のものだった。
彼はそんなスペシャルなものを上下合わせて持っていて、旅の荷物は軽いながらも、真冬のような砂漠の夜を乗り切っていた。
Yくんの鍋
僕たちが持っていた鍋は、街の市場で買った安物のアルミニウム製の鍋だ。
その理由は、安い値段で購入できて、十分な量の料理が作れると言う、単純な理由だ。
Yくんの鍋は、チタニウムと言う金属でできており、軽くて丈夫で金属臭や有害物質などのないものだった。
その上、いくつもの鍋を重ねて収容することができて、多くの鍋があるにもかかわらず、バックパックの隅に収まると言う優れものだった。
キャンプ道具
他にもフランス製の折りたたみ式のナイフや、特殊素材でできた折り畳み式のマットや、薄くて丈夫な素材のタープなど、何から何まで洗練されていた。
その準備具合は、Yくんを助けるだけでなく、僕たちを助けることにも役立った。
特にタープが無くては、この砂漠の日差しの中で生き延びることはできない。
Yくんは知識をもたらしてくれただけではなく、実質的に大きな助けになってくれていた。