チベット自治区を旅する話3(自叙伝073)

チベット自治区を旅する話3(放浪記073)

丘の上のポタラ宮

 
 
 
 
 
チベットの首都ラサにはポタラ宮と言う大きな宮殿がある。
 
 
 
 
 
それは、政治と宗教の中心でありながら、チベットの長である歴代の長の住居であり、数多くの修行僧が暮らす僧院でもある。
 
 
それと同時に最大の観光地でもあり、最も外国人の目に晒される場所でもある。
 
 
大きな建物があまり無いラサにおいてポタラ宮の大きさは驚異的で、チベット文化における重要度が伺える。
 
 
 
 
 
ポタラ宮は街の中心近くの丘の上に位置しており、街を見下ろしている。
 
 
ある種の権威の象徴でもあり、崇拝の対象でもある。
 
 
 
 
 
実際の大きさはともかく、感覚的には旧市街の半分くらいはあるように感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ポタラ宮観光

 
 
 
 
 
ポタラ宮は街の中心近くにあり、僕たちの滞在しているゲストハウスからも歩いていける距離だ。
 
 
僕たちは一日ゆっくりと時間をかけて観光することにした。
 
 
 
 
 
入り口でチケットを買い建物の中へ入る。
 
 
 
 
 
僕たちは中国人のふりをして中国人価格でチケットを買おうとしたが、日本人旅行者慣れしたチケット売りのスタッフを誤魔化すことは出来なかった。
 
 
 
 
 
ポタラ宮の中には数多くの巨大マニ車が並んでいて、観光客は歩きながら回転させて、お経を読む徳を積んでいる。
 
 
全部で8階建て位の大きさがあるんじゃないかと思うのだが、とにかく広くて色々な部屋がある。
 
 
 
 
 
ある部屋は何百人もの出家僧が同時に瞑想できるような大きな部屋。
 
 
ある部屋は、壁一面にチベット仏教の宗教画が書かれた部屋。
 
 
大小様々な仏像やチベット仏教の神々の像が並んでいる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ポタラ宮のトイレ

 
 
 
 
 
中国全土においてトイレには驚かされ続けてきたが、ポタラ宮も例外ではなかった。
 
 
なんと、ポタラ宮のトイレは側壁に空いた穴から垂れ流しなのだ。
 
 
 
 
 
おそらく千年以上の歴史があると思うのだが、今も同じ仕組みということは、それで十分持続可能な仕組みなのだと思う。
 
 
 
 
 
壁から流れ出た糞尿は虫や鳥や動物の餌になる。
 
 
湿気の多いところだと植物の肥料になるのだろうが、チベットは乾燥しているので、そのまま乾燥して風に吹き飛ばされる。
 
 
完全に乾燥しているのでバクテリアなども生存できないのだろう。
 
 
 
 
 
 
トイレのある辺りに近づくと、アンモニアの刺激臭と発酵した腐敗臭にやられるが、毎日瞑想している修行僧達は心の平安を保てるのかも知れない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

不思議な体験

 
 
 
 
色々な部屋があるが、一番多く見たのは仏像が並ぶ部屋だった。
 
 
高さ数メートルに及ぶ巨大な物から数十センチの物まで何千体もの仏像があった。
 
 
色々な小部屋に仏像が別れているのは、もしかしたら部屋ごとに目的があるのかも知れない。
 
 
 
 
 
そんな沢山ある仏像の部屋の一つで不思議な体験をした。
 
 
 
 
 
その部屋は、特になんの特徴もない数ある仏像部屋の一つだった。
 
 
強いて言えば他の部屋よりも小さめだった事くらいか。
 
 
 
 
 
 
そのなんの変哲もない仏像部屋に入った瞬間、言葉で表現しようのない妖気の様なものを感じた。
 
 
 
 
 
それは、空気の密度が何倍にもなったような、湿気が急に増したような、悪寒と熱気が同時にやって来たような奇妙で変な感覚だった。
 
 
 
 
 
 
残念なことに、僕は友人と一時的に別行動をとっていたので、他の人も同じ感覚を持つのか聞くことが出来なかったが、僕にとっては否定しようのない不思議な感覚だった。
 
 
 
 
 
 
僕は、エホバの証人の家庭に育ち、心霊現象などを否定する家庭に育ったので、霊的な現象は全く信じていなかった。
 
 
中学生時代には恐れ多くも賽銭泥棒をしたくらいだ。
 
 
だからこそ、この部屋で感じた不思議な感覚には大いに戸惑った。
 
 
 
 
 
 
そういう感覚を感じる人を胡散臭く見ていたし、まさか自分がそういう感覚を感じることがあるなんて思いもしなかった。
 
 
そんな自分がこういった感覚を感じたので、常識の枠が歪んだような気がした。
 
 
そういった感覚に対して胡散臭いとは言えなくなっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
つづく。。。
 
 
 

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