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石垣島でキャンプする話9(放浪記519)

 

インドでの友人

 

 

年が明けて1週間ほどした頃に、インドのゴアで知り合った友人のB君がやってきた。

 

 

僕はB君のことはほんの少ししか出会っていないので良く知らなかったのだが、僕がインドで一緒に遊んでいたYさんが、その後のアフリカの旅でB君と出会っていて、B君も沖縄にいくというので紹介してくれたのだ。

 

 

僕は沖縄でサトウキビ刈りの仕事ができたら良いなと望んでいたのだが、B君もそのつもりらしく、お互いに助け合えたら良いねというのが合流した趣旨だ。

 

 

 

B君の個性

 

 

B君も同じキャンプ場に滞在することになったので、共に自然の中で時間を過ごす。

日が経つごとにBくんの強烈な個性が明らかになってきた。

 

 

その個性を要約すると、「身体能力がずば抜けていて、最高に良い奴だが、あり得ないレベルのアホ」といったものだ。

動物に例えると、元気一杯の可愛らしいアホ犬といった感じだ。

 

 

とんでもないアホなのだが、身体能力がすごいので、高校では特別扱いされて、入学し卒業できたらしい。

そのアホさは日常生活に支障をきたすレベルだが、性格がめちゃくちゃ良い奴なので、誰もがおおらかに許してくれるらしい。

そして、そのアホさ故に実際に問題が起こったとしても、超絶な身体能力で乗り越えられるようだ。

 

 

彼をみていると、人の幸せには頭の良さなど必要なく、健康な体と明るい笑顔が大事なのだと再確認させられる。

 

 

 

B君の料理

 

 

キャンプ料理の定番と言えばカレー。

誰でもそれなりに美味しく作れて、まず失敗することのない料理。

失敗してもある程度修正が効くこともキャンプ料理に向いているだろう。

 

 

B君は街に行ってカレーの材料を買ってきて、キャンプ場で作る。

 

 

それまでは僕やH君の作る料理を分けることが多かったので、Bくんはカレーを多く作ってお返ししたいというのもあったらしい。

そんな思いで、渾身の力でカレーを作る。

 

 

だが、カレーを味見するB君から漏れるのは、喜びの声ではなくて嗚咽だった。

 

 

その様子を遠くから見ている僕のところへ、B君が半泣きになりながらやってくる。

どう頑張っても美味しくならないから助けてほしいというのだ。

 

 

どうやれば美味しくないカレーを作れるのか?と訝りながら一口味見をして衝撃を受けた。

吐き気がするほどにマズいのだ。

自然と嗚咽が湧き上がってくる。

 

 

 

種明かし

 

 

話を聞くと、B君はカレーにミルクを入れると美味しくなるという話を聞いたことがあったので、練乳を一缶丸ごと放り込んだという。

 

 

完成したカレーの上に生クリームを垂らしたり、インド式にヨーグルトを添えたりすることを想像していたのかもしれない。

あるいは林檎と蜂蜜の甘さを想像して、練乳を入れたのかもしれない。

 

 

甘くなりすぎたカレーを修正するために、塩とスパイスを大量に放り込んでいるので、結果として強烈な甘さの上に辛くてしょっぱくなっている。

 

 

そして、さらに恐ろしいことにB君は焚き火の火力の調整が全くできておらず、鍋底は焦げ付いており、カレー全体が強烈な焦げ臭さに覆われていて食べられたものではない。

 

 

そして焦げ付いてはいるが、全く煮えておらず、じゃがいもも人参もほぼ生のままだ。

 

 

焦げ臭くて甘くて辛くてしょっぱい生のじゃがいも。

それがB君の渾身のカレーだった。

 

 

 
 
 

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