自転車で沖縄へ向かう話13(放浪記507)

 

ATM

 

 

食べ終えて近くにある銀行まで自転車で向かう。

だが、残念なことにその日は日曜日で、ATM稼働していない。

 

 

こっちは曜日に関係なく自転車旅をしているので、日曜日だとは思いもしなかった。

 

 

こうなっては明日の朝まで待つしかない。

その日のうちに街を出て、森の中で気持ちよくキャンプしたかったが、どうやら街中のどこかでキャンプする必要が出てきそうだ。

 

 

ラーメン屋に戻り、店長に事情を説明し、運転免許証を担保にして、次の日に帰ってきて料金を支払うことにした。

店長はあくまでも疑いの視線を崩さない。

 

 

たった数百円足りないことで、街中に足止めされるとは、なんてツイていないのだろう。

 

 

 

野宿

 

 

これは自転車旅の辛いところでもあるのだが、体力をかけて漕いだ道のりを戻りたくはないのだ。

キャンプ予定地が街から一時間離れたところだと、合計で二時間が無駄に失われてしまう。

 

 

12月も半ばでどんどんと寒くなってきていたので、余計な足止めはしたくない。

また、こんな形の足止めのせいでホテルに泊まって余計な出費をしたくもない。

そう言った経緯もあり、僕は仕方なく街中で野宿することにした。

 

 

人通りの少ない場所にあるパチンコ屋の大きな駐車場を見つけたので、街灯の当たらない暗闇にテントを張って眠ることにした。

朝イチに出発すれば、何も問題はないだろうし、仮に警察が来ても事情を説明すればわかってくれるだろう。

 

 

だが、このような形でキャンプすると、まるでラーメン屋の店長が僕に対して物乞いを見るような視線を向けたことが現実化しているように感じられる。

 

 

自分の足で自転車で旅をして、やっとたどり着いた九州で、喜んでちゃんぽんを食べただけなのに、結果的にはパチンコ屋の駐車場で野宿をする羽目になったのが、腹立たしくて仕方がなかった。

 

 

ビールのほろ酔い加減も悪酔いの恨み節に感じられる。

 

 

九州に来て初日だったが、すでに四国へのホームシックにかかり始めていた。

 

 

大分の人たちに罪はないが、このラーメン屋の店長によって、大分に対するイメージは悪い色で塗りつぶされてしまった。

 

 

 
 
 

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