翌朝
朝日と共に目を覚まし、テントを畳む。
パチンコ屋の駐車場でキャンプしているところなど、近所の人に見られたくはないし、警官に質問されたりするのも面倒臭い。
ラーメン屋が開店するまで、しばらく時間があったので、近くのコンビニで朝食を買い、公園で休む。
こっちは朝の6時に起きているのに、ラーメン屋が開く11時まで待たされるのも、なお一層腹立たしく感じさせられた。
だが腹を立ててもどうしようもないので、時間を潰してから、ATMでお金をおろし、ラーメン屋に行って昨夜の代金を支払った。
僕は腹を立てていたが、相手を責める理はないので、大人しく支払ったが、お金を受け取った店長の態度は大きく変わっていた。
もしかしたら、昨日の話を家族に話して、その心の狭さを責められていたのかもしれない。
原因は何かわからないが、店長は申し訳なさそうに、僕の免許証を返してくれた。
僕はこんな店には関わりたくないと言った態度で、店を出て自転車を漕ぎ進めた。
宮崎県
たった一人のラーメン屋の店長のせいで、大分県に対して悪いイメージを抱くことになったが、県境を超えて宮崎県にくると、イメージを切り替えることができた。
もちろんそれは、大分県民によるものでも宮崎県民によるものでもなく、僕の頭の中の勝手なイメージなのだが。
南へ向かって漕ぎ続け、宮崎市のあたりまでくると、雰囲気がさらに大きく変わった。
大分よりも南なので必然的に暖かいのだろうが、宮崎市のある平地自体が南に面しているので、全体的に開放的で暖かい雰囲気を感じられる。
特に何をしたわけでもないが、なんとなく良い気分になり、九州に対して抱き始めていた、ネガティブなイメージを完全に払拭することができた。
明日は峠をこえるので、その日は早めに休むことにした。