サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話22(放浪記410)

 

二人の関係

 

RさんとCさんの関係が発展しようとしていた。

 

だが、恋心が成長するよりも先に、Rさんの共同生活においての厄介さがCさんの頭をもたげていたようだ。

 

既に色々と煙たがられている上に、一文なしで行く宛のないRさんを受け入れることに抵抗があったのだろう。

 

数日の間は仲良くなりつつあった二人だが、徐々にCさんがRさんのことを煙たがるようになる。

 

 

窮地

 

全てがうまく行かず、藁にもすがる気持ちでCさんとの関係を望んでいたRさんだったが、Cさんから距離を置かれることで、窮地に陥っていた。

 

共同生活もうまく行かず、Cさんにも距離を置かれ、帰る場所もままならない。

帰る場所があったとしても、帰るお金はないし、ヒッチハイクする気概も無い。

 

追い詰められたRさんは、自己の闇の深みへとはまりこんでいく。

 

 

相談

 

小屋の皆がそれぞれにRさんの相談に乗り、何とかしようと試みるが、深みにハマったRさんにはどうしようも出来ない。

 

その反面、僕とIちゃんのカップルは楽しくやってるし、OちゃんとAくんも楽しくやっている。

Mくんは自由に輝いているし、Yくんも共同生活体験を楽しんでいる。

 

皆それぞれが調子良くやっている反面、Rさんだけが落ち込んでいく。

皆が優しく取りなすが、全く功を奏さない。

 

Rさんの抱え込んだストレスは、そのまま小屋のみんなのストレスへとなっていった。


どこにもいく場所がなく、放り出すわけにも行かない、だからと言って共同生活において役に立つわけでもなく、ただ飯を食らい不満を垂れるだけという、とてつもなく厄介な存在になっていった。

 

最も苦しんだのは、同国出身のガンドルフさんである。

 

数少ないネイティブ英語を話すガンドルフさんは、Rさんにとって格好の標的だった。

昼夜構わず不満を吐き出す。

 

Rさんをこの場に誘ったのは自分の責任だが、出て行けというわけにも行かない。

魔法使いのおじいさんにもどうにも出来ない悩みの種だった。

 

 
 
 

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