サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話23(放浪記411)

 

Mくんの決心

 

Rさんの文無しの厄介さとOちゃんの文無しの力強さの両方を目の当たりにしたMくんには思うところがあったのだろう。

 

あるとき突然に、ドイツへ帰ろうと考えていると言い出した。

お金は底を尽きていたが、友人に旅費を借りて、自国へ帰って働いて返すつもりだという。

 

Oちゃんの影響で自由を知ったが、Rさんの現実を見て心が引き締まった感覚があったのだろうか。

 

働いてお金を貯めて、旅をしたいと言う。

DさんやEさんからの影響もあるのだろう。

 

 

旅立ち

 

Mくんは自由なだけに、心を決めてからの行動は早かった。

 

街へいき友人から送ってもらった現金を受け取る。

その数日後には旅立つ準備ができていた。

 

旅の手段はOちゃんに習ってヒッチハイクだ。

 

彼は、中身の大して入っていない小さなバックパックを背負い、砂漠の日差しと埃と汗に汚れてくたびれたいつもの格好で道路に立った。

 

僕たちは皆で彼の旅立ちを祝い、暖かく送り出そうと道路のそばまでやってきている。

 

ここモロッコの砂漠の道路には滅多に車は通らないが、通った車はほとんど止まってくれる。

 

20分ほど待ったところで、運よく車が通りかかり、彼を拾うために止まってくれた。

 

 

お別れ

 

僕たちは熱いハグを交わし、出会いを祝し、共に過ごした特別な時間に感謝しあった。

 

彼の内側に起こったポジティブな変化は、僕たちの通った経験を代表したものであり、彼の喜びも成長も僕たちの内側に存在していた。

 

これから自国へと帰り、社会に属して労働し、また次の旅へと向かう彼の選択を皆が応援していた。

 

ここで面白いのは、彼のモロッコ滞在のビザはとっくに切れていたことである。

もちろんMくんはそんなことはことは一切意に介していない。

 

その自由への覚悟を持った旅立ちは僕たち皆に勇気を与えるものになった。

 

 
 
 
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