不適応
H君は、レインボーギャザリングを大いに楽しんだのだが、そこでの文化である「何でもシェアする」というスタイルが居心地が悪くなって離れることにしたらしい。
レインボーギャザリングでは、お互いのことをブラザー、シスター、などと呼び合って疑似家族のように暮らし、食べ物や道具などなんでも共有して暮らしていると言う。
H君にとっては、それらの極度な近さと親しさ、そして全てを共有する一心同体感がしんどくなったと言う。
孤高のロックンローラーとしては非常に納得できる話だ。
馴れ合いは好まないのだろう。
好奇心
だが僕にとっては、レインボーギャザリングの話は、聞いているだけで激しく好奇心を唆られた。
この時、僕は絶対にいつの日かレインボーギャザリングに参加しようと決意した。
だが、参加しようにもどこかでチケットを買えるわけでもなく、旅人同士の口づてに噂が広がるだけなので、簡単に出会えるものでもないらしい。
少なくとも僕は今まで数多くの旅人に出会ってきたが、誰一人としてこの話をしていない。
そもそも論として、イベントに出会うことすら難しそうだ。
ヨガ修行
H君の面白い話はそれに止まらなかった。
彼のヨガ修行の話も特筆に値する。
彼は旅の流れで、リシケシというヨガの聖地に滞在していた。
気合の入ったロックンローラーの彼は目力が凄く、尋常でないオーラを放っているので、自然と似たような人たちと引き合い、年季の入ったヨガ行者たちとつるむようになる。
そう言った流れで、洞窟に住んでヨガの修行をするルーマニア人のおじさんに出会うことになった。
そのおじさんは、ただの修行者ではなくて、修行者たちのグルだった。
そして、彼が修行し教えているヨガは、タントラヨガと言う名のセックスヨガだったのだ。