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ロンドンに住む話13(放浪記317)

 

Tくん

 

ロンドンで出会う人には個性的な人が多かったが、中でも最も奇抜だったのがTくんだ。

 

彼は、ロンドンでサイトランスのパーティーに行く人たちの間では顔を知られており、2000年当時にロンドンでサイトランスのイベントにいっていた人で知らない人は少ないだろう。

 

なぜそうも有名なのかというと、その奇抜な格好が群を抜いて奇抜だったからだ。

 

ある程度の奇抜さは、個性が光っていて格好いいといった表現が当てはまることもあるが、一線を越えるとそれは、イタいとか、怖いという表現が当てはまるようになって来る。

彼の場合は残念ながら後者だった。

 

そしてさらに残念なことに、彼は僕とIちゃんと同じ大阪の出身だった。

この大阪的な一線を超えた奇抜さは、同じ大阪出身の人間からすると、気恥ずかしくもあり、見たくないものでもあったりする。

 

だが、それと同時に一線を超えたものだけが持つ自由さやユーモアを含んでいて、一概に嫌なものでもない。

僕たちは、お近づきにはならずに遠目から見て楽しむことを選択した。

 

 

ロンドン郊外

 

僕たちが彼に要注目しだしたのはロンドン郊外で行われた、アンダーグランドなトランスパーティーにおいてのことだった。

それまでにも見かけてはいたのだが、単なる変わり者として流していた。

 

このパーティーはテムズ川沿いにある古い工場を改造したクラブで、定期的にアンダーグラウンドなイベントを開催している。

ここの周辺には住民は住んでおらず、またロンドン市街にあるわけではないから、全体的にもっと自由な雰囲気で、大音量がクラブの外に漏れていても誰も気にしない。

 

周りに迷惑をかけなければ、放っておいてくれるのはロンドン市警の良いところだ。

 
 
 

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