サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話6(放浪記394)

 

多国籍共同生活

 

キリのいい10人という人数での共同生活が始まった。

 

その中で最多の30%を誇るのが、我らが日本人チーム、僕とIちゃんとYくん。

そして、2番目に人数が多いのが、モロッコ人のFさんとA君の二人、そしてイギリス人のガンドルフさんとRさんの二人だ。

 

残りは、フランス人とドイツ人とオーストラリア人が一人づつ。

 

 

国籍

 

ガンドルフさんの国籍についてはずっと不明だったが、ここにきてやっと国籍を知ることができた。

 

旅慣れたヒッピー的な旅人たちの間では、相手に国籍を聞かないというのが暗黙のマナーになっている。

殆どの場合には、見た目や言葉のアクセントで人種がわかるのだが、あえて聞かないことで、人種に関係なく人間同士として繋がろうとする意思を示すのだ。

だから、今の今までガンドルフさんの国籍を知る事はなかった。

 

 

言葉の壁

 

モロッコの公用語はモロッコ語とフランス語だが、僕たちの間では英語が共通語として使われていた。

 

3人が英語を母国語とし、モロッコ人のFさん、日本人のYくん、ドイツ人のMくんは英語を流暢に話すことができた。

だが、モロッコ人のA君の英語は日本の小学生レベルで、僕とフランス人のCさんは中学生レベルだ。

Iちゃんが高校生レベルの英語を話し、僕たち英語話せない組の中ではダントツで抜きん出ていた。

 

彼女は元々社交的なタイプで話すのが好き、そしてこの英語でしか話せない状況が後押しし、日に日に英語が上達して行っていた。

学生時代にまともに勉強してた上に、英会話学校に行ったことがあり、基礎知識が十分あったため、彼女の英語力が羽ばたくことができたのだ。

 

だが、僕もCさんもA君も英語の基礎知識がないのでなかなか言葉の上達が難しい。

 

それでもコミュニケーションを取りたいという思いはしっかりとあるので、身振り手振りや表情でコミュニケーションを取ることを学んで行った。

 

その反面に英語ネイティブ組は、相手に伝わるようにゆっくりと単純な単語で話すことを学んで行った。

お互いを気遣う思いが中間点を探し出すのである。

 

 
 
 
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