サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話7(放浪記395)

 

オアシスでの生活

 

日々の生活は単純だが充実したものだった。

 

僕とIちゃんは外に張ったテントで寝ていたので、プライバシーや個人の時間を確保できたので、その点に関しては他よりも楽だったようだ。

テントでの生活には良い点と悪い点があり、プライバシーや自由さは素晴らしかったし、自然と密着した暮らしも気持ちがよかった。

 

だがその反面、砂漠の自然と密着するのは楽なものでは無かった。

 

 

 

フェスティバル中にキャンプしていた時から気づいていたが、テント暮らしが日常になってからより一層実感したのが、昼夜の寒暖差だ。

 

昼間に直射日光に当たると、”暑い”を通り越して、”熱い”になり、さらに時間が経つと”焦げる”になり、さらに時間が経つと”痛い”になった後に、最後には”危険”という領域になる。

”危険”を通り越せば、”死亡”まで一直線だろう。

 

黒い色の車がいれば、ボンネットで卵焼きが作れるかと思われる。

 

昼間はあまりにも暑すぎて危険なため、殆どの時間を小屋の中で過ごした。

外は暑くとも小屋の中は心地のいい気温が保たれている。

 

 

 

昼間は恐ろしいほど暑いが、夜には恐ろしいほど寒くなる。

 

僕たちはこの気温の変化を季節に例えて楽しんでいたが、夕暮れ時に秋が来て、日が沈むと冬が来る。

 

冬になると、昼間とは真反対の気候が襲って来る。

夜中じゅうに気温はみるみる下がり続け、明け方には氷点下に近くなる。

 

一度は水瓶に入れて外へ置いておいた水が、朝見ると凍っていたほどだ。

実際に水が凍る温度なのである。

 

かなり過酷な環境だったが、若さゆえか大した苦もなく乗り越えることができた。

 

冬が来れば、全ての服を身にまとい、フェスティバルのお下がりの毛布に何重にも包まり、重なり合って夜を過ごす。

この寒さはカップルだから乗り越えられたとも言えるだろう。

 

 
 
 
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