サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話33(放浪記421)

 

移動

 

小屋を借りている期限の最終日にトラックがやってきた。

今まで使っていた日用品をガンドルフさんの住居のあるタンジェへと運ぶためだ。

 

僕たちは皆、最初から最後までガンドルフさんの世話になっている。

お釈迦様の手のひらの上で遊ばせてもらっているような感じか。

 

小屋の中をきれいに掃除し、地元の人へ小屋を返却する準備をする。

 

僕たちのような変わり者たちに小屋を使わせてくれた地元の人にも感謝の思いがある。

 

 

荷物

 

一つづつの荷物をトラックへと積み込む。

それぞれの道具にそれぞれの想いが詰まっている。

 

皆がそれぞれの荷物をトラックへと積み込み、人々もトラックに乗り込んで旅の準備が整った。

 

改めてみてみると大した量の荷物ではない。

 

皆がそれぞれにバックパックで旅をしているため、最小限のものしか持っていないからだ。

 

 

別れ

 

これで僕たちの大半は別れることになる。

 

ガンドルフさんとFさんには、後にタンジェで会うことになるが、その他の面々とは次にいつ会うのかはわからない。

その後の人生も、全くの未知の領域だ。

 

僕たちは、お互いに感謝を述べ、友情を祝し、別れを惜しみあった。

 

なんとも素晴らしい出会いだったし、貴重な経験をさせてもらった。

 

自然の中で友人たちと暮らすことがこんなにも楽しいことだとは知らなかった。

 

皆それぞれが成長し、人生の可能性を押し広げることになったのではないだろうか。

 

唯一残念だったのは、Rさんが厄介者の立ち位置になってしまったことだ。

厄介ではあったが、共に時間を過ごした仲間であり、人生の一場面で刺激を与え合った同志だ。

 

トラックは街へと向けて出発する。

 

僕たちは、共に過ごした時間に思いを馳せながら、トラックが見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 
 
 
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