モロッコを周遊する話4(放浪記432)

 

最後の日々

 

僕たちは、ガンドルフさんやFさんに別れを告げて、モロッコを出る心構えをしていた。

 

この後は、僕はロンドンへ住み、Iちゃんは大阪で演劇の道に進む予定だ。

 

モロッコともお別れだし、僕たちの関係も無期延期になろうとしていた。

 

楽しかったモロッコの旅が終わろうとしている。

しつこく引っ張って長期滞在してきたが、既にビザが切れてから2週間が経っている。

 

予約した飛行機の日付まで残り数日だ。

 

 

出国

 

僕たちはタンジェの港の税関を通り、船へと乗り込んだ。

 

係員は僕たちのパスポートを見て、期限の切れたビザのことを聞いてきたが、病気して動けなかったと言うと、すんなりと通してくれた。

 

不法滞在したビザの行方はどうなることかと慮っていたが、結果として大したことなく終わった。

 

数時間の航海の後フェリーは無事にスペイン本土についた。

 

その足でマラガの空港へと向かう。

 

 

再開

 

ここで驚きの再開がある。

なんとCさんがマラガの空港内にいたのだ。

 

砂漠にいた時からは想像もできないほどに小綺麗な格好をしている。

 

これからフランスへ向かうという。

フランスで少し働いてから、またモロッコに戻ってきて、ガンドルフさんの手伝いをする予定らしい。

 

ガンドルフさんはこれからも色々なエコロジー・プロジェクトを立ち上げるつもりらしい。

今後が楽しみだ。

 

僕たちがタンジェについた日の一日前に、モロッコの北東にあるセウタという名前のスペイン領側へ抜け出てから、スペイン本土へとやって来たという。

 

モロッコに長期滞在している人は、三ヶ月に一度セウタの街の国境を超えることで、スペインに行ったという形跡を残すことで、ビザを更新している。

どこの国にも簡単なビザ更新の裏技があるが、モロッコではセウタが一つの抜け道のようになっていた。

 

 
 
 

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