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モロッコで21世紀を迎える話42(放浪記385)

 

遺跡

 

僕たちは暗闇の中を光と音のする方向へ向かって歩いた。

 

ダンスフロアが近づいてくると、ステージの後ろにある遺跡/廃墟のようなものがスポットライトで照らされているのが見えてくる。

フェスティバルという特殊な状況も合わさって、神秘的な雰囲気がそこはかとなく漂ってくる。

 

あと数時間もすれば、20世紀が終わり、新たな世紀が始まるという節目にいた。

 

モロッコ、サハラ砂漠、オアシス、島、フェスティバル、そして新しい世紀。

色々なことが頭をよぎり、興奮がみなぎってくる。

 

 

21世紀

 

ダンスフロアに近づき、音と光の中に紛れ込む。

フロアは皆が一体となり、ビートに合わせて揺れている。

 

皆が21世紀を迎えるこの瞬間を最高の笑顔で踊りながら超えたいと願い、はるばるモロッコの砂漠までやってきた。

興奮と感動と喜びを共有している。

 

日付が変わり、年が変わり、世紀が変わるこの瞬間に合わせて、DJは音を止めた。

 

その瞬間に向けてカウントダウンが始まる。


10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、、、


0の瞬間に合わせて、花火が吹き上がり、フロア全体が光と音と感動に包まれる。

 

熱狂が落ち着く直前にDJがビートを差し込んでくる。

上手い、完璧なタイミング。

 

フロアの熱狂は醒めることなく激しいダンスへと流れ込んだ。

 

 

朝日

 

誰もが興奮に包まれて無我夢中で踊っていた。

 

それはある種の集団催眠のようでもあり、参加者も意図的に集団催眠にかかろうとしていた。

そこには時間の感覚はすでになく、恍惚と一体感と満足感が支配していた。

 

次に我に帰るのは朝日が昇ってきた頃だ。

 

だんだんと明るくなり、汗と砂埃に塗れた猛者たちの顔が露わになる。

誰もが果てしなく汚れているが、それと同時に笑顔で光り輝いている。

 

ここにいる誰もが、この瞬間をここで迎えることができて良かったと感じていたし、誰もがそう感じているということが感覚として共有できていた。

 

 
 
 
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