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放浪記041

タイ旅行でカルチャーショックをうける話8(放浪記041)

タクシー

 
 
 
道端の砂利の上に横になってどれくらいが経ったのだろうか?
 
しばらくの間眠りに落ちていたようだ。
 
 
 
夜は明けかけていて、空は白み始め、ジャングル中の鳥たちが合唱している。
 
砂利の上で寝ていたため、体は少し痛いが、頭はだいぶんとスッキリし、吐き気は完全に治っていた。
 
 
 
フルムーン・パーティーには今更行っても既に終わっているだろう。
 
残念だが、諦めてゲストハウスに帰ることにした。
 
 
 
道路沿いに出てタクシーを捕まえようと思ったが、朝早い時間だからか、全く車が走っていない。
 
 
しばらく待ってやっと一台の車が止まった。
 
タクシーではなくて乗合バスだ。
 
 
僕も運転手も英語を話せないので、身振り手振りでコミュニケーションを取りながら、ゲストハウスの名前を連呼していると、”そこなら知っているから、この値段で送ってやるよ”という。
 
 
話に聞いていた相場よりも少し高かったが、他にゲストハウスに帰る手は無いので、しぶしぶ受け入れることにした。
 
 
 
 
 
 

帰路

 
 
 
乗合バスは僕を乗せて、昨晩来た道を遡っていく。
 
一応順調に帰路についているようだ。
 
 
そろそろ帰り着いてもいい頃なのに、一向にたどり着く気配がない。
 
運転手に確認すると、大丈夫だ任せとけみたいな合図をする。
 
 
もしかしたら、どこか山奥にでも連れて行かれて、”お金を余分に払わないと目的地まで連れて行かない”とか言われるんじゃないかと想像して不安になってくる。
 
 
再度確認しても、同じような反応。不安が募る。
 
 
さらにしつこく確認すると、実はゲストハウスがどこかわかっていなくて、迷いつつ探しているらしい。
 
さっさと言えよ!って思ったが、悪意がないことを確認できたのは良かった。
 
 
 
結局、地元の人に何度も尋ねながら島内をほぼ一周してゲストハウスまでたどり着くことが出来た。
 
 
 
友人たちは既にパーティーから帰って来ていて、僕がまだゲストハウスにたどり着いていないので心配していたらしい。
 
 
彼らとしては、車酔いしただけだから、次のタクシーで来るだろうと思っていた所が、僕はパーティーにも現れず、朝ゲストハウスに帰って来ても僕の姿が見えない。
 
もしかしたら強盗にでもあったんじゃないか?自分たちが山道に放置したから犯罪の被害にあったんじゃないか?とやきもきしていたらしい。
 
 
 
良くも悪くも、結果的に何も無かった。
 
僕は唯一のチャンスの満月のパーティーを逃してしまった。
 
 
友人たちは最高に楽しんだらしい。
 
 
大阪から一緒にやって来たA君は満足げな笑顔に浸っている。
 
僕への心配は吹っ飛んで、昨日の思い出だけが残っているみたいだ。
 
 
 
 
 
 

北へ

 
 
 
一緒に島まで来たA君はひとり旅を経験したいと言い出した。
 
僕はてっきり北部まで一緒に旅するものだと思っていたが、ひとり旅の経験をするのも悪くないと思い一旦別行動をすることにした。
 
 
パンガン島での体験は未知の経験に満ちていて、非常に大きなカルチャーショックを僕に与えた。
 
この島とも、一緒に遊んだ旅の先輩たちともお別れかと思うと切ないものがあったが、これから始まるタイ北部へのひとり旅という冒険が僕を呼んでいた。
 
 
A君は既に一人で北に向かっていたので、僕一人でパンガン島からバンコクへと向かう。
 
既に一度来た旅路を戻るだけなので、不安は全くない。
 
 
旅行代理店で船とバスのジョイントチケットを購入し、フェリーとバスを乗り継いでバンコクへ。
 
 
 
バンコクはパンガン島へ行く前と何も変わらず、ものすごい人口密度。
 
排気ガスに空は曇り、人々は慌ただしくお金を追いかけている。
 
 
ずっと大阪で育って来て、都会的なものが大好きな人間だったが、南の島のゆっくりさを経験してしまうと、都会のスピード感が少し馬鹿らしく感じて来た。
 
 
 
つづく。。。
 

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