放浪記067

共産主義国家中国を旅する話4(放浪記067)

灰色の街

 
 
 
上海の安宿をチェックアウトして街を目指して歩く。
 
電車のチケットを取って内陸部へ向かう予定だ。
 
 
 
街の中心部の高層ビル街に近づいて来て気づいたのが、殆どののビルが剥き出しのコンクリートだった事だ。
 
昨日までは港の近くにいたので、剥き出しのコンクリート・ビルが並んでいても、別におかしくは無かったが、繁華街の高層ビル街までやってくると不自然さが爆発する。
 
街には結構な量の人が闊歩していて、大都市なのは間違いない。
 
自分がどれくらい街の中心にいるのかは分からないが、眼に映るビル群の8割が剥き出しのコンクリートのままだ。
 
工事が完了したのか、あるいは途中で終わったのか、あるいは元からこう言うデザインなのか。
 
当たり前のように立ち並ぶコンクリートの塊を見て、大きな衝撃を受けた。
 
 
 
共産主義とはこういうものなのか?
 
政治に対して全くなんの興味も無かったので、共産主義とはどう言うものか、ほとんど理解していなかったが、灰色のビル群は絶対的な違和感を突きつけて来ていた。
 
確かに外壁塗装は無くとも何の問題もないが、街のほとんどが灰色だと、別次元の問題だ。
 
 
 
文句を言っていても、どうしようもないが、この時は共産主義の恐怖を感じた。
 
 
 
 
 
 

親切な怪しい男

 
 
 
大陸の中央部へ向かう為のチケットを買おうと駅へ向かっていると、駅の近くで怪しい男が近づいて来た。
 
英語が話せるらしい。
 
僕は英語が話せないので、相手が英語を話そうとあまり意味はないが、それでも”バス”や”トレイン”、”チケット”などの単語は聞き取る事ができた。
 
 
 
彼が何者かは全く分からないが、助けようとしてくれている、あるいは騙そうとしているように思えた。
 
訝しがりながらも、人とコミュニケーションを取れる事が嬉しい。
 
どちらにしろ右も左も分からない状態なので、とりあえず疑いながら接して、怪しくなって来たら離れようと決めた。
 
 
 
彼に地図を見せながら、西に向かってからチベットに行きたいことを伝える。
 
彼は地図を指差しながら西安と言う街へ行けと言う。
 
そこからチベットに行けるようだ。
 
 
 
チケット売り場まで一緒について来てくれて、チケットを買うのを手伝ってくれた。
 
座席指定で硬座と軟座の二種類があったので、柔らかそうな軟座を選んだ。
 
別にぼったくられたり騙されてりした感じはしない。
 
 
 
その後、お礼にと言うことで、屋台で一緒に食事をして、ビールをのみ、その代金をご馳走した。
 
自分で注文すると変なことになったりするので、注文を手伝ってくれるのは助かった。
 
食事が終わった後は、どっちに向かって歩いて行けばいいかを教えてくれてから別れた。
 
 
 
結局、普通に親切な人だったようにも思うし、ビールが飲みたかっただけなのか、あるいはもっと悪いことをしようとしていたのかは分からない。
 
今になって思えば、チケット売りの人があらかじめ仕込んでおいた高めのチケットを売って来ていたとかも有るかも知れない。
 
 
 
 
 
 

デパート

 
 
 
電車の出発時間まで、まだしばらく時間があるので、街を散策することにした。
 
中国では、宿や電車やバスなど至る所で無料のお湯が魔法瓶に入って配られているので、お茶っぱと水筒を買うことにした。
 
 
 
コンクリートむき出しの巨大デパートへと入る。
 
飾り気のない外観とは裏腹に中はこぎれいな感じ。
 
いかにもダルダルでやる気のなさそうな美人お姉さんがカウンターに座っている。
 
 
 
場所が結構広いわりに商品の種類が少なく、同じ商品を山のように積んで売っている。
 
スーパーマーケットのような店も併設しているので、電車で食べる食料を買い込むことにした。
 
 
 
お茶っぱを探しながら歩いていると、ペットボトルに入ったお茶の棚が見えて来た。
 
ここでも、一つの種類の飲み物が、大きなスペースを占めていて品数はあまりない。
 
売っているお茶は烏龍茶。
 
さすが中国、期待通り烏龍茶が最前列に並んでいる。
 
 
 
よく見ると、2種類あるようで、一つには”糖”の文字が。
 
どうやら無糖の烏龍茶と砂糖入りの甘い烏龍茶があるようだ。
 
自分は紅茶に砂糖を入れて飲むくせに、無意識のうちに烏龍茶に砂糖を入れるのはおかしいと考えていた。
 
それが、烏龍茶の本場中国で砂糖入りの烏龍茶がスーパーの最前列に並んでいる。
 
 
 
些細なことだが、こう言う部分のカルチャーショックから大きな影響を受けた。
 
 
 
 
 
 
つづく。。。
 
 

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