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放浪記068

共産主義国家中国を旅する話5(放浪記068)

中国の列車

 
 
 
列車の出発の時刻が近づいて来たので、駅へと向かう。
 
列車は一晩中走って、明日の昼過ぎに西安に到着するらしい。
 
 
 
該当の列車を見つけて乗り込む。
 
チケットを見ながら自分の席を探す。
 
 
 
漢字が読めるので、チケットに書かれていることの大体の意味がわかるのが嬉しい。
 
チケットに軟座とあったように、自分の席は柔らかいクッションの席だった。
 
 
 
出発時刻に定刻通り出発した列車は、中国の街並みをくぐり抜けて、郊外へと出て行く。
 
広大な大地が延々と続く。
 
 
 
 
 
 

軟座

 
 
 
疲れて来たので、壁にもたれながらウツラウツラする。
 
 
 
体を深くクッションに沈め、休んでいると、尾てい骨の辺りが擦れて痛くなって来た。
 
列車の揺れが激しく、柔らかいクッションとの組み合わせや、体の姿勢との関係もあり、ちょうど尾てい骨の辺りが布と擦れるのだ。
 
座り続けるしか他に選択肢が無いので、我慢して座り続けた。
 
夜行列車の軟座はどうやらかなり失敗だったようだ。
 
硬臥と言われる席があり、硬い木のベッドだと思うのだが、そちらを選ばなければいけなかった。
 
 
 
一応、毎日つける予定の日記を書いて眠りに着いた。
 
結局、夜中じゅう殆ど眠れず、お尻が痛いまま西安についた。
 
 
 
 
 
 

西安

 
 
 
西安に着いてからは、すぐにその日の宿を探した。
 
列車では眠れなかったので疲れていたし、同じ姿勢をずっとしていたのも辛かった。
 
 
 
駅のすぐ近くに安い宿を見つけたので、そこに泊まることにした。
 
西安では上海みたいに断られることはなかった。
 
 
 
ここでも、日記を書いて眠りについたが、この日記を最後にして、これ以上書くことは無かった。
 
自分は三日ぼうずの性格で、こまめに日記を書くと言う柄では無いことを自覚した。
 
文字に記録して行くよりも一瞬一瞬を目に焼き付けようと思った。
 
 
 
 
 
 

旅人

 
 
 
次の日、一晩眠るだけで体力の回復した若い僕は、次の目的地 ”西寧” へ向かう列車のチケットを買い、すぐに列車に乗り込んだ。
 
 
 
ここで大きな幸運が廻りこむ。
 
同じ列車内に北京に留学している日本人留学生二人組が乗っていたのだ。
 
もちろん、一目見て日本人と分かるわけではなかったが、周りの一般中国人とは違う雰囲気があった。
 
様子を見ていると、日本語を話してるのが聞こえて来たので、近づいて話しかけた。
 
 
 
彼らは北京から列車の旅を続けて西安までやって来た。
 
これから1ヶ月ほどかけて、西寧を抜けてチベットへ向かう予定だと言う。
 
 
 
なんと、僕と全く同じ予定の行路だ。
 
 
 
彼らは北京に滞在する留学生だが、僕がタイのパンガン島で出会った旅人たちと似た雰囲気を持っていた。
 
外国に来て言葉が通じないことに辟易し、よく分からない共産主義の世界を一人で旅する不安を感じていた僕は、彼らに一緒について行っても良いかと尋ねた。
 
彼らは、旅は道連れ世は情けとでも言うように二つ返事で受け入れてくれた。
 
 
 
 
 
 

中国裏話

 
 
 
彼らと話していてわかったのだが、上海で僕が安宿に泊まりづらかったのは、安宿は外国人を泊める許可証を持っていないかららしい。
 
見つかれば宿が政府に罰金を払わないといけないらしい。
 
宿以外にも観光名所の入場料などで、中国人料金と外国人料金の違いがあるらしい。
 
でも、彼らは中国語がペラペラなので、中国人のふりをして旅ができると言う。
 
 
 
彼らは色々と面白い中国の裏話をしてくれた。
 
これは1998年当時の話なので、今はどうなっているか分からないが、当時、中国の内陸部で行われた核実験が国際的に問題になっていたらしい。
 
一般の中国人の知らないところで実験が行われていたのだが、彼らのいる国際的な大学では外国人の数が多く、色々な情報が海外から入ってくる。
 
数人の外国人の生徒と、中国人の生徒が色々な証拠を提示しながら議論を続けていた。
 
話せば話すほど、政府を擁護しようと躍起になっている中国人学生の意見は空を切る。
 
議論に行き詰まった彼は、”本当は放射能は体に良いんだ!” の一言を放ち逃げて行ったそうな。
 
 
 
 
 
 
つづく。。。
 
 

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