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ヒマラヤの秋の話26(自叙伝231)

 

治療

 

案の定、インドの歯医者はやはりインドだった。

治療というような概念はそもそも存在しないのかも知れない。

 

Rさんの歯を見た医師は、即座に歯を抜くことを決めた。

歯を抜く以外の選択肢が存在したのかどうかも怪しいところだ。

 

医師はぶっとい麻酔注射をRさんに刺して、麻酔が効いてくるのを待つ。

 

しばらく待った後に作業が始まり、Rさんの声にならない変な爆音と共に抜歯作業が進んで行く。

 

根元から腐った虫歯は3本もあるらしい。

 

おそらく虫歯の歯は根本から弱りきっていたのだろうし、医師も歯を抜くことに慣れているのだと思う。

全部で3本の虫歯をあっという間に抜いてしまった。

 

麻酔はあまり効果がなかったらしく、強烈な痛みによるアドレナリンと涙と緊張で、Rさんはふらふらと意識朦朧で治療室から出てきた。

 

街に寄ってから帰ろうかと思っていたが、とてもそんな余裕はないらしい。

TちゃんがRさんに付いて宿まで帰り、僕は二人の分まで街で買い物してから帰ることにした。

 

 

引っ越し

 

ルームメイトのKくんがビザが切れるので、バシシトを出て行ったが、それと同じタイミングで、別の友人のOくんがルームシェアに誘ってくれた。

 

冬が近づき、バシシトから出るタイミングが近づいていたので、一旦引っ越して別の生活を体験してから移動するのも悪くないアイデアだと考えた。

 

Oくんは既に2年ほど世界を旅しており、色々な経験を積んでいて、芸術的センスも良く、一緒に部屋をシェアすることは良い刺激になりそうだった。

 

今まで泊まっていたゲストハウスは温泉から歩いて2分で地の利がよく、コンクリートで作られた建物はしっかりとしていて、安定した心地よさがあった。

 

新しい部屋は正反対で、温泉から山を登って15分ほど歩いたところにある。

周囲には建物もお店も何もなく、絶景が見渡せるだけ。

 

土壁と石屋根と木の柱でできたヒマラヤの伝統的な家屋で、すでに築50年ほど立っていそうな古びた建物。

コンクリートの安定感は無かったが、部屋の中にはタンドリーと呼ばれる鉄製の暖炉があり、部屋の中で火を起こして料理をすることができる。

 

部屋を歩く度にギシギシと床が鳴り、天井が低く少し薄暗かったが、暖炉を囲んで料理して暮らす時間は全く新しい経験だった。

 
 
 

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