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放浪記008

歪みが顕著に現れてくる中学生時代の話2(放浪記008)

負のスパイラル、二面性

 
 
 
 
エホバの証人の家庭に育つと言うことは、聖書原理主義によって生み出された厳しい規則の元に育てられると言う事。
 
 
 
 
 
エホバの証人の子供達には基本的に二つの選択肢しかなく、大人しく言うことを聞くか、泣いて反省するまで鞭で打たれるかの二択。
 
 
 
 
 
中学生になると流石に鞭で打たれることは無くなったが、幼い頃から”教育”されてきた僕には、母に反抗することはできなかった。
 
 
トラウマというか、条件反射というか、奴隷根性が染み付いていたというか。
 
 
蛇に睨まれたカエルのような感じ。理屈ではない。
 
 
 
 
 
中学生になって反抗期になると、エホバの証人の子供の反応は3つに分かれる。
 
 
 
 
 
一つは、言われた通りに従順に規則に従う。
 
 
一つは、あからさまに全てに逆らう。
 
 
もう一つは、規則に従ったふりをして、裏では正反対の行動をとる。
 
 
 
 
 
 
僕も含め、ほとんどのエホバの証人の子供達が二面性を持つことを選択した。
 
 
 
 
 
 
親の前では清楚な格好をして、従順に言う事を聞き、反論しない。
 
 
友達の前では親に禁止されていることを行動に起こす。
 
 
 
 
 
 
僕たちは正直であるように愛の鞭で強制されることで、完璧に嘘をつき通すことを学んだ。
 
 
心を開いて本音で話し、受け入れあうと言うことを学ぶ機会はなかった。
 
 
親もそうだし、エホバの証人の大人もそうだし、学校の先生もそうだった。
 
 
本音で話すと言う行為をしている人は一人もいなかった。
 
 
 
 
 
今になって思い返すと、一人だけいた。
 
 
小学校3、4年生の時の担任の先生だ。
 
 
彼の大きな愛は僕の心に届くことは無かったが、今でも記憶に残っていて、温かい気持ちを呼び起こす。
 
 
 
 
 
二面性のある家庭内では、嘘がバレないようにと口数が少なくなっていく。
 
 
嘘と二面性は僕の日常の一部になり、瞬間的に嘘を演じることは全く苦にならなくなって行った。
 
 
 
 
 
反抗期に抑圧された反抗心は、二面性といった歪みを作り出すことが多いようだ。
 
 
親に従順な中学生ほど、裏で何をしているかわからない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

負のスパイラル、盗み

 
 
 
 
良心が無くなるにつれて、万引きなどに抵抗が無くなっていく。
 
 
 
 
 
アルバイトのできない中学生で、貧しい家庭に育つ自分が欲しいものを手に入れるには、他の方法は無いと自分を正当化していた。
 
 
多分、地域特性や年代特性もあるだろうが、うちの中学校では万引きが非常に一般的だった。
 
 
クラスの男子の7割くらいは万引き経験者だったんではないだろうか。
 
 
 
 
 
 
中学校からの帰り道にある新しくできた本屋は万引き被害により、1年で営業を終了するほど、我が校の万引き汚染はひどかった。
 
 
 
 
 
僕は週に三回、エホバの証人の集会に正装で参加し、神を讃える歌を歌っている一方、時間のある時には友人と万引きツアーを繰り返していた。
 
 
 
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犯罪の足がつかないように自転車で遠く離れた街まで行き、盗みを繰り返す。
 
 
 
 
 
僕たちが主に盗んでいたのは古本。
 
 
隣町の小さい古本屋に行き、欲しい漫画全巻をごっそり盗んでいく。
 
 
読み終わったものを別の古本屋に持っていき、お金に変えて、ゲームセンターで消費する。
 
 
 
 
 
 
神罰に対する恐怖なども全く麻痺していたので、神社にいってお賽銭を盗んだりもした。
 
 
割り箸にガムテープを貼り付けて、賽銭箱の隙間から差し込み小銭を盗む。
 
 
 
 
 
中でも、本当に自分が最低だったと思うのは、自分の物欲のために貧しい母や姉の財布からお金を盗んでいたことだ。
 
 
 
 
 
仮病で学校を休み、親の財布からお金を盗み、病院へ行った帰り道に親から禁止されていたゲームセンターで消費する。
 
 
社会からのしわ寄せの色々な歪みが、僕の中で集大成していた。
 
 
 
 
 
僕たちの万引き遊びはエスカレートして行き、電車に乗って都会にまで行き、大掛かりに万引きするようになって行った。
 
 
最初のころは普通に入店して、万引き防止のための機械や警備員を避けながらくすね取る。
 
 
経験は日が経つごとに慣れていき、僕たちはもっと大きな計画を立てるようになった。
 
 
大手ゲームソフト店に裏口から侵入し、ゲームソフトを大量に盗む。
 
 
後で、中古で売ってお金に変えようと言う計画だ。
 
 
 
 
 
ここまでくると、完全に犯罪。
 
 
中学生の万引きで済まされるような話ではない。
 
 
 
 
 
僕たちは周りの様子を見ながら、裏口の扉を開け侵入する。
 
 
ものすごい緊張感と興奮。
 
 
無造作に置いてある重いダンボール箱を見つける。
 
 
僕たちはお目当のモノを見つけたと思い、その箱を持って脱出し、近くの公園まで走って逃げた。
 
 
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緊張もすごいが、喜びも大きい。
 
 
これを売れば結構なお金になる。
 
 
 
 
 
だが、箱を開けた中から出てきたのはゲームソフトではなく、ただの業務上の封筒だった。
 
 
 
 
 
ものすごい緊張感と喜びからの大きな落胆。
 
 
 
 
 
この出来事は僕に大きな衝撃を与えた。
 
 
この日を機に一切の盗みをやめた。
 
 
万引きも、親の財布からも、賽銭箱からも。
 
 
 
 
 
 
罪悪感とか良心の呵責からやめたとかではない。
 
 
ここで経験した大きなストレスと落胆から、なんとなく馬鹿げていると思い興味がなくなったのだ。
 
 
 
 
 
だが、僕の万引きパートナーは全く逆の反応をした。
 
 
新しいパートナーを見つけ、本格的な窃盗犯になって行った。
 
 
彼らは怖気付くことのない盗みの天才で、月に100万円分以上の物を盗んでいた。
 
 
 
 
 
 
僕は彼らを冷静にみていて、羨ましく思うことは1度も無かったし、必要以上にモノを欲しがることも無くなっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
つづく。。。
 
 
 

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