自転車で沖縄へ向かう話15(放浪記509)

 

峠越え

 

 

これから宮崎から鹿児島へと向かうのだが、そのためには峠を越える必要がある。

低い丘のようなものだが、自転車の旅では低い丘でも多くの体力を消費する。

疲れる道中になることが予想されるので、朝早くに出発することにした。

 

 

山道を登り始めると、そこにはミカン畑が広がっていた。

 

 

そして嬉しいことに、みかんの無人販売が至る所にあった。

2キロくらいの熟れたミカンがたっぷりと入った袋が、たったの百円で売られている。

ペットボトルの水を買うよりも安く、熟した美味しいみかんを大量に食べれるなんて、自転車旅行者には最高の道のりだ。

 

 

僕はこまめに休憩してはみかんを食べてエネルギーと水分とビタミンを補給した。

 

 

 

 

 

みかん畑の峠を超えた先には、遠くまで見渡せる海面が広がっていた。

 

 

海を見下ろしながら、山道を駆け降りる。

このパターンはすでに何度も繰り返しているが、苦労して峠を登った後の、長い下り坂は自転車旅行の最高の醍醐味だ。

車で山を登っても大した感慨はないが、自転車での上り坂の苦労は喜びを築き上げる。

 

 

 

活火山

 

 

海の向こうには、桜島が見える。

頂上ではうっすらと煙を上げているようだ。

 

 

生まれて初めて見る火山は、生きている命を感じさせた。

文字通り地球は生きており、火山は活動している。

 

 

桜島まで近づくと、その雄々しさに息を呑む。

麓にある道路の名前は、溶岩道路、いかにもな名前が旅を盛り上げてくれる。

 

 

 


温泉

 

 

この日の目的地の龍神温泉にたどり着いた。

 

 

事前に仕入れた情報によると、この温泉は海に面した温泉で、海の広大さと火山の命を同時に楽しめる温泉らしい。

料金は他の温泉に比べると高めだが、他にない絶景を考えると、試さないわけにはいかない。

 

 

建物の中に入ると、白装束を渡された。

温泉は混浴なので、白装束を着て入らないといけないらしい。

 

 

温泉に入ると、他の客たちも皆が白装束を着ていて、時代劇のセットに入ったかのような気分になる。

 

 

最高の温泉で1日を締めて、その日は近くの海岸でキャンプすることにした。

 

 

 
 
 

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