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北アルプスの山小屋で働く話12(自叙伝453)

 

移動

 

大きな山小屋での仕事に慣れ始めた頃に、次の山小屋への移動の日がやってきた。

 

恋人のIちゃんと一緒に時間を過ごしながら働けるというのが目的で山小屋に働きにきたが、結果的にはあまり一緒に時間を過ごすことはなく、このまま次の小屋へと移動になった。

 

次に働きに行く山小屋は、今働いている小屋と比べると格段に小さく、従業員は3人しかいない。

支配人と、二人の手伝いだけだ。

 

真夏の最盛期にはさらに二人が加わるというが、それでも現在の小屋の従業員の3分の1にも満たない。

 

従業員たちの間では、この小さな山小屋は良い環境で働けるらしく、皆の羨望を集めているという。

 

良い噂しか聞かないので、僕は期待に胸を膨らませていた。

 

 

ヘリコプター

 

大きな小屋から小さな小屋までは歩いて8時間ほどかかるのだが、小屋開きで多くの荷物を運ぶため、ヘリコプターに便乗させてもらえることになった。

 

もちろん人生初のヘリコプター体験だ。

ヘリコプターに乗るというのはどういうことなのか全く想像がつかない。

 

出発当日は、ヘリコプターによる荷上げの日と同日なので、数多くのヘリコプターが中継小屋を介して上がってくる。

 

この日は全員が朝の4時に起きて、超忙しい1日に備える。

 

面白いのは、ヘリコプターは上からやってくるのではなく、足元から浮かび上がってくることだ。

 

遠くの下方に見えるヘリコプターが、山中に爆音を鳴り響かせながらやってくる。

下から現れたヘリコプターは上昇を続け、山小屋のヘリポート上空で一時滞空する。

 

それをヘリとのやりとりに熟練した従業員が、うまく誘導してヘリポートに荷物を下ろさせる。

 

ヘリは、ヘリポートには止まらずに文字通りにトンボ返りして中継小屋へと次の荷物を取りに戻る。

 

ここで、文字通りのトンボ返り(トンボ帰りではない)と言ったが、本当に文字通りなのである。

ヘリは、ほとんどバク転に近い形でアクロバティックな操縦の元に下へと飛んでいく。

 

話では、山で働くヘリのパイロットは、日本でも最高レベルの操縦技術の持ち主らしい。

 

 
 
 

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