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北アルプスの山小屋で働く話13(放浪記454)

 

荷物運び

 

ヘリコプターは、荷物をヘリポートにおろして、次の荷物を取りに向かう。

 

次のヘリが戻ってくるまでは、時間にして10分から15分と言ったところ。

その空き時間内に、数百キロに及ぶ全ての荷物をヘリポートから片付けないといけないのである。

 

従業員の皆が荷物運びに集中するとはいえ、それでも数多くの従業員は日常業務に関わらないといけないし、荷上げされた荷物の一部は冷凍庫に運ぶ必要があったりするので、それを収納する人なども必要だ。

結果として非常に限られた人員で、この大量の荷物を捌く事になる。

 

ヘリの騒音とアクロバティックな操縦、大量の重い荷物を走って運ぶという過酷さ、高い標高ゆえの酸素の薄さ、朝4時起きという寝不足によるナチュラルハイ。

 

これらの過酷な状況に合わさり、各熟練従業員たちの気合の入ったテンションやヘリポートから見下ろす絶景が皆のテンションをいやがおうにも盛り上げる。

 

人によってはヘリ荷上げの日を戦争と例える人もいれば、お祭りと例える人もいる。

とにかく特別な日だった。

 

 

搭乗

 

ほとんどの荷上げが完了したら、次は僕たちの乗るヘリコプターの番だ。

 

通常は誘導役の人以外はヘリポートにいてはいけないし、ヘリも着地することはないのだが、今回のように人を乗せるときは別だ。

 

僕たちは、ヘリポートの端っこで頭を低くしてヘリの着陸に備える。

 

爆音とともにヘリが到着すると、僕たちは頭を低くしたまま駆け寄ってヘリに飛び乗る。

僕たちがシートベルトを閉めたことが確認できたと同時に、ヘリは急速な勢いで上昇する。

 

山での荷上げを行うヘリコプターは高高度上昇のためガソリン代が高い。

そして、何年も経験を積んだ熟練した操縦士しか山での荷上げを行えないため、操縦士に支払うお金も高い。

そう言った理由で、ヘリに関連した行動は迅速に行う必要があった。

 
 
 

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