焚き火を囲んだ話1
旅人が集まる場では、旅の話が一番盛り上がる。
誰もが興味があり、誰もが何らかの話を持っている。
僕が興味を持ったのは、DさんとEさんがこの後に向かう旅の話だ。
彼らはこの後に元いた場所に帰るわけではなく、続けてモロッコを旅するわけでもない。
彼らが向かうのはインドだ。
マハ・クンバメーラ
12年に一度開催されるマハ・クンバメーラという世界最大のお祭りがインドで数週間後に始まるので、それに向かうのだという。
12年?!
そのスケールの大きさに度肝を抜かれた。
前回開催されたのは、12年前で、次に開催されるのは12年後だ。
今回のフェスティバルは、100年に一度の世紀超えを祝うフェスティバルだったが、その直後に12年に一度のフェスティバルに向かうなんて、流石に彼らは桁が違うなと思い知らされた。
そのフェスティバルでは、何千万人とかが世界中から集まってくるらしい。
彼らはその噂を聞いて以来、この時が来るのを待ち続けたという。
この噂を聞いた僕は、よし、それじゃあ次の12年後のマハクンバメーラにいってやるぜ!と旅の闘志を燃やした。
インスピレーション
彼らの旅に対する貪欲さには大いに刺激を受けた。
ビッグイベントの次にビッグイベントに向かう。
そんな生き方を何年も続けていれば、とんでもない経験値を積むはずだし、彼らのような強烈なオーラも納得できるものがある。
僕も彼らのように貪欲に刺激的な旅を続けて、人間として大きく成長したいと大志を抱かせられた。
強烈なインスピレーションは無理矢理に個性を変えてしまうのである。
若干22歳の僕は、影響を受けやすく、彼らのような強烈な個性に出会っては、抗う術を持っていなかった。
後になってYくんと話し合ったことだが、Dさんのように超強烈な生き方をしている人から見れば、旅し始めの僕たちなどは眼中にすら入っていないのかもねと。
それほどまでにかれらは別次元のオーラを放っていた。