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北アルプスの山小屋で働く話24(放浪記465)

 

水あげ

 

水あげという言葉には色々な意味があり、船から荷物を下ろすことや、漁業の収穫高、生花の用語、芸妓の用語でもあるらしい。

山小屋では文字通り水を上げることを意味する。

 

昔は人力で水を担いで水を提供していたらしいが、今ではエンジンとポンプを使って麓の沢から水を押し上げる。

押し上げるのはガソリンの力だが、パイプを配置するのはなかなかの労働だ。

 

 

パイプ設置

 

パイプを設置するのに近隣の山小屋のNさんが手伝いに来て来れた。

 

700メートルの標高差をポンプで押し上げるので、その圧に耐えるために強いプラスチックパイプが必要になる。

その強さの分だけ重量は増すので、パイプだけで60キロ近くの重量になる。

 

そのパイプは重いだけでなく、大きくて嵩張る。

なんとか小さくまとめても、1.5メートルほどの輪っかになり、背中に担いで歩くとその重さと大きさ故に倒れそうになる。

 

そんな大きなパイプをJさんと僕と助っ人のNさんで担いで山を降りる。

 

 

助っ人

 

助っ人のNさんは僕の働く小屋から500メートルほどの距離にある別の山小屋の支配人だ。

 

彼らの小屋は別の経営系列で、経営者同士は犬猿の仲なのだが、そんなことは従業員には関係なく、助けが必要な時には無償で助け合う間柄だ。

 

今回は大きな作業でレベルの高い経験者が必要なため、Nさんが助っ人として入ってくれた。

彼らの小屋には岩壁からの水があるので、このパイプは必要ないのだが、純粋に無償で助けてくれている。

 

 

谷間

 

僕たちは700メートルほど山の斜面をくだり、山の谷間へと辿り着いた。

 

ここで一旦荷物を置いて、今度は反対側の山肌へと登っていくのだ。

 

水源は谷の反対側の山にあり、その水を谷間まで引っ張ってきて、そしてさらにこちら側の山の上までポンプで水あげするというわけだ。

 

全く楽な作業ではないが、それでも昔みたいに水を担ぐことを考えると遥かに楽をしていることになる。

 

 
 
 

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