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モロッコで21世紀を迎える話25(放浪記368)

 

フェスティバルの混乱

 

フェスティバルの開催日が近づくにつれて、オーガナイザーチームの混乱が増して行っていた。

順調に進んでいる部分もあれば、滞っている部分もある。

 

通常では大きなフェスティバルは経験豊かなスタッフ陣がサポートしあって作り上げていくものだが、このフェスティバルはモロッコ史上初の電子音楽フェスティバル。

それも、ただの電子音楽フェスティバルではなくて、カオスの中に光を見るようなサイトランスという音楽ジャンルのフェスティバル。

 

そんな混乱に満ちたフェスティバルを率いるのが、フェスティバルを初めてオーガナイズするモロッコ人の金持ちの男性だ。

彼はヨーロッパを旅行中にサイトランスのフェスティバルに出会い、自分の国でも同じようなことをやりたいとなって、色々な人の協力を得て開催に漕ぎ着けたようだ。

 

幸か不幸か彼は大金持ちの御曹司なので、フェスティバルを開催する資金は賄えたが、フェスティバルをオーガナイズしたことのない人間に、最初から大きなフェスティバルをオーガナイズするのは楽な作業ではない。

元々無理のあるオーガナイズに色々な要素が合わさって、混乱は加速して行っていた。

 

 

不満

 

僕たちは、自分たちが担当する日本庭園を完成させて、オーガナイズチームからは離脱していた。

フェスティバルのチケットは持っているし、住むところもキッチンもあるので、自分たちが楽しめる範囲以上には手伝おうとは考えていない。

 

後になってわかったことだが、一部のスタッフは僕たちがチケットを持っていないボランティアだと考えていて、本来ならばもっと働かなければいけないのに、ガンドルフさんに気に入られているからフラフラと遊んでいるんだと考えて、不満に思っている人もいたようだ。

似たようなタイプの不満は各所で続出していたらしく、色々な噂が聞こえてくる。

 

 

脱出

 

開催まで1週間を切ったという頃になって、仲良くなったフェスティバルスタッフの一人が僕たちの住むホテルの部屋へとやってきた。

 

何かとんでもなく腹立たしいことがあったらしく、もう十分にやり切ったから、自分はここを出ていくと言っている。

全部忘れて、海でカイトサーフィンをやって新世紀を迎えるよ、と言って颯爽と出て行った。

 

わざわざこの年越しのためにヨーロッパからやってきて手伝っていたのに、出ていく選択をするとは余程のことがあったんだろう。

 

 
 
 
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