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モロッコで21世紀を迎える話24(放浪記367)

 

ホテル

 

フェスティバルが始まる前の1週間ほどは、目まぐるしく過ぎていった。

 

ホテルに集まってくる旅人はどんどんと増えていき、全ての部屋は満室になり、ホテル側は臨時の部屋や臨時の布団などを出して来て対応している。

宿泊料金も大幅に値上げしているようだ。

 

僕たちは超破格の一日三百円をまとめて先払いして滞在していたので、ホテルの人たちも恨めしく思っていたかもしれない。

 

 

濃い旅人

 

ホテルには世界中から年季の入った旅人たちが集まっていたが、とりわけオーラを放っていたのがDさんとEさんのコンビだ。

 

二人ともガタイのいい長身のミュージシャンで、Dさんは腰まであるドレッドロックの髪型で、Eさんはスキンヘッドに近い短髪だ。

Dさんは彼のガタイに負けないほどの巨大なジャンベを持ち歩いており、Eさんは彼のガタイに負けないほどのディジェリドゥを持ち歩いている。

 

二人はみんなでやっているジャムセッションに混じって演奏するのだが、楽器の大きさが通常旅人が持ち歩くような楽器の大きさではないため、その音圧が周囲を圧倒する。

また演奏家としても素晴らしい技術で、彼らが演奏を始めると周りの空気がガラリと変わる。

 

彼らは、スイスのスクワットハウスに住んでいるらしく、家賃は払っていないらしい。

また、食料はダンプスターダイビングで手に入れていた。

 

 

旅のスタイル

 

Dさんはかれこれ10年ほど世界中を旅して暮らしているらしく、色々と有益な知識を持っていた。

 

旅をし続けるための知識は素晴らしく、スクワットやダンプスターもそうだったが、彼はビジネスにも長けていた。

 

世界でも最も物価の安い国であるインドのヒマラヤの山奥から最高級の水晶を安く手に入れて、世界でも最も物価の高い国であるスイスで友人たちに販売する。

 

彼は長年旅を続けているものが持つカリスマ的なオーラを放っていたので、彼から水晶を買いたいという人は多いようだ。

物価の高い国で販売をしながらも、生活費はほぼゼロなので、全ての利益を旅の資金に費やすことができる。

 

彼は1年に一度インドからスイスへ行き、残りの時間は世界中を旅して暮らしていた。

 

 
 
 
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