サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話27(放浪記415)

 

夜中

 

僕たちはすやすやと心地よく眠っていたが、その安眠は夜中に妨げられることになった。

風が吹き出してテントを揺さぶり始めたのだ。

 

だが、日本の台風の恐ろしさを知っていたことが自信になり、砂漠の暴風を舐めてかかっていた僕たちはそのままテントの中で眠り続ける。

 

風はその速度を増していき、テントを激しく揺さぶり続ける。

 

僕たちはそれでもしつこくテントの中にいたが、とうとうあまりにも強すぎる風でテントがペシャンコになってしまった。

テントの立体性はもはやなく、車に踏みつけられて干からびたカエルのように、平面になっていた。

 

 

脱出

 

平面になってしまっては、テントの意味がなく、下手したらテントが壊れてしまうかもしれないと危惧した僕たちは脱出を試みる。

 

テントの外に出てみて気づいたのが、本当に本当にとんでもない暴風だったと言うことだ。

寝転んでいてはわからないが、立ち上がるとモロにその風圧を受け取る。

 

テントからポールを外し、まっ平にした上で、その上に大きめの石を何個も並べて風で飛ばされないようにした。

 

暴風に翻弄されながらも、急いで小屋の中に入って難を逃れることが出来た。

 

 

小屋

 

小屋は石と土で出来たもので、80メートルの風速といえどもびくともしない。

 

僕たちが避難してからも風は勢いを増していくのが、響き渡る音から聞いて取れる。

もしあのままテントの中にいたらと考えると、ゾッとするものがある。

 

頑丈な小屋のおかげで、轟々と喚き立てる暴風をよそ目に、僕たちは安全に夜を過ごすことができた。

 

ありがたい話である。

 

 
 
 
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