ホーム » 放浪記 » 北アルプスの山小屋で働く話27(自叙伝468)

北アルプスの山小屋で働く話27(自叙伝468)

 

名物おじさん

 

山小屋で働いていると、山小屋関係の人脈が増えていく。

特に近隣の山小屋との関係は密接だ。

お互いに必要な時に助け合ったりもするし、必要に応じて寝床や食事も提供する。

 

その中でも登山道の整備は一つの山小屋の問題ではなくて、近隣の山小屋全ての問題なので、その点に関しての協力関係は密に行われている。

 

そんな流れでうちの小屋にやってきたのがSさんだ。

Sさんは見た目は小柄なおじいさんだが、山小屋勤務40年というベテラン中のベテラン。

彼に対して頭の上がる人など山小屋業界には存在しない。

 

 

シェルパ族

 

Sさんはうちの近所にある大きな山小屋に所属して、登山道の整備を専門にして活動している。

 

その作業の危険度は熟練の山小屋従業員や登山家でも務まらないほどで、誰もSさんレベルの作業をこなすことができない。

 

人員不足に悩んだSさんは、ヒマラヤに暮らす山の民族であるシェルパ族の精鋭を日本に連れてきた。

彼らは世界中の登山の精鋭を引き連れて、ヒマラヤを案内し、エベレスト登山隊などに参加する世界最高峰の山の人だ。

 

シェルパ族の人たち曰く、僕たちが今いる3000メートル級の山はシェルパの基準からすると、山とは呼ばず丘と呼ぶそうだ。

基準からして根本的に違うのだ。

 

Sさん曰く、シェルパ族の精鋭くらいでないとSさんのやりたい仕事の手伝いはできないというのも納得できる話だ。

 

 

今日の作業

 

そんなSさんが二人のシェルパ族の豪傑を引き連れてうちの小屋へと泊まりに来た。

 

小さなSさんと二人の巨漢のシェルパ族の豪傑は、漫画に出てくるような拳法の達人とその弟子たちのようにも見える。

 

Sさんは支配人のJさんとも旧知の間柄で、Jさんの態度からSさんに対する多大なリスペクトが見て取れる。

 

彼らが今日こなしてきた作業は、落石を吹き飛ばす作業だ。

 

先日に巨岩が山から落ちてきて、登山道のほとんどを塞いでしまった。

人力では動かしようもない。

 

その巨岩の下にダイナマイトを設置し、爆破の勢いで500メートル下まで叩き落とすという、なんとも豪快な作業だった。

 

 
 
 

前の記事 | 次の記事

 

 

当サイトは皆様の共有のおかげで成り立っています。

シェアをよろしくお願いします!

 

ホーム » 放浪記 » 北アルプスの山小屋で働く話27(自叙伝468)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です