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北アルプスの山小屋で働く話26(自叙伝467)

 

昼寝

 

パイプが小屋にまで繋がるのには時間がかかる。

なんせ700メートルの距離を山を登りながら繋いでいくのだから簡単な作業ではない。

 

2時間ほどかかるというので、持ってきていたおにぎりを食べて、昼寝をして過ごすことにした。

 

おすすめの昼寝場所はJさんに教えてもらっている。

谷の真ん中に転がっている5メートルの巨岩は見晴らしの良い位置にあり、岩の上に寝転がるとちょうど山頂を眺められる位置にある。

 

激しい労働の後におにぎりを頬張り、青空と山頂を眺めながら昼寝をするのは、なんとも気持ちのいいものだ。

 

 

トランシーバー

 

心地よく寝転んでいるところへ、トランシーバーから連絡が入った。

エンジンをかけてポンプを回し、山小屋へと水を上げろとの合図だ。

 

僕は教わったことをノートに書いていたので、問題なく任務を遂行できた。

 

ポンプの力を利用して、水は勢いよく山小屋へと上がっていく。

 

この作業もまた2時間ほどかかるので、もう一度昼寝の時間がやってくる。

僕はまた岩の上へと戻って寝転びながら、時折ポンプの様子を確認してはトランシーバーからの連絡をまった。

 

 

任務完了

 

小屋のタンクに水が満タンになると、またトランシーバーで連絡が入った。

指示通りにエンジンを止めて、ポンプとエンジンを岩陰の人目につかないところに隠す。

 

このような感じで水揚げの任務は完了した。

 

普段街で生活していると、水がどこから来ているか、どのような経過を辿って蛇口から出てくるのかなど気にすることなど全くない。

だがこうやって実際に水源から水を引っ張ってきて、ポンプで押し上げるという作業をこなすと、よりいっそう地に足のついた感覚を持つことができた。

 

どのようにして水がやってきて、自分の体に入り、生命を繋いでいるのか。

山小屋という自然に密着した環境と物質的に限られた環境ゆえに、その感覚を肌で感じることができたのだろう。

 

 
 
 

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