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北アルプスの山小屋で働く話39(自叙伝479)

 

 

下界では残暑に苦しみ、蝉が泣き喚いているころだが、山では既に夏が終わり秋が近づいていた。

 

標高が1000メートル上がるごとに気温は6度づつ下がっていく。

さしづめ、2800メートルのうちの小屋では、地上と比べて17度ほど気温が低いことになる。

 

下界が32度の残暑ならば、山頂は15度の秋なのである。

 

夏が終わることで、夏バイトの美男美女の二人は地元へと帰っていった。

また、初期メンバーの3人での生活が始まる。

 

小屋開け直後は、繁忙期へ向けての準備で忙しかったが、夏が終わると今度は小屋閉めへ向けての準備が始まる。

 

 

祭りのあと

 

繁忙期は祭りのようなもので、今からは祭りの後片付けと言ったところか。

 

週末を過ぎるたびに、登山客の布団の数を減らしていく。

布団を屋根に並べて干してから、屋根裏部屋へと運び込む。

 

ベッドシーツは次回のヘリの便で下ろすことになる。

 

ヘリで運び込まれる食料も減っていき、代わりに下界に下ろすゴミが増えていった。

 

 

恋人との関係

 

僕の働いていた小さな山小屋が小屋閉めへ向かうにつれて、僕がまた大きな小屋で働く時期が近づいてきていた。

それは、恋人のIちゃんとの再会の時を意味していた。

 

彼女と一緒に働きたいがために山小屋の仕事へと応募したが、実質的にはほとんど一緒に過ごす時間はなかった。

 

当時は携帯電話が普及する前なので、別々の小屋で働くようになってからは、まともに連絡を取り合うことは不可能になっていた。

 

山小屋には衛星電話を使ったインターネットを使うことができたが、それは特殊な事情において許可される特別なものだった。

1分あたり100円もかかっていては、日常的に連絡に使うことなどできない。

 

まあ、一緒に旅した仲だし、少し離れるくらいならお互いにいい刺激になるだろうと考えていた。

 

 
 
 

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