北アルプスの山小屋で働く話40(放浪記480)

 

小屋閉め準備

 

山小屋での日々は小屋閉めへと向けて進んでいく。

 

「小屋閉めノート」に書かれたチェックリストを一つづつこなしていく。

このノートは、毎年入れ替わる山小屋バイトの誰にでも理解できるように工夫を凝らして書かれている。

 

こう言った山小屋の仕事のオーガナイズのうまさは、経営理念を信奉する社長によってもたらされたものだろう。

経験者一人とノートがあるだけで、全てがうまくいくようにできている。

 

小屋閉めは、小屋開けと比べるとずっと簡単だ。

僕たちは日々淡々と作業をこなしていった。

 

 

小屋閉め

 

小屋を閉める最後の数日は登山客はいない。

 

全ての布団を屋根裏へ上げて、全ての雨戸を頑丈にしめて、最後に表玄関に雨戸を釘で打ち込んで完成だ。

 

小屋明けから仕事に入っていただけに、このプロセスを完了させるのは感慨深いものがある。

 

たったの数カ月だったが、色々な出会いがあり、ものすごい速度であらゆることを学んだ。

山の暮らしの大変さとその大変さを乗り切る知恵を知り、困難な状況を乗り越える強さを身につけることができた。

 

 

下山

 

山での暮らしを支えてくれた小屋に感謝を告げて下山する。

 

徒歩で麓の街まで行くと、車が迎えにきてくれている算段だ。

 

山での暮らしは学ぶことが多いが、下山時にも色々と教えてもらった。

その知恵は後の旅暮らしにも大いに役立つものだ。

 

特に有用だったのは、どのようにしてバックパックに荷物を詰めるかということだ。

そこには色々なルールがあって、そのルールに従うことで体力を大幅に温存することができる。

 

そのルールとは、重たいものは上部の背中側に配置し、軽いものは下部の背中から遠い側に配置するということだ。

そうすることで、荷物の重心が前へ向かうことになり、荷物を軽く担げて前へ向けて歩きやすくなる。

 

さらには、バックパックについている腰の補助具や肩にある紐類をきっちりと絞めることで、荷物はさらに軽くなる。

 

ポイントは、重量のほとんどを腰で担ぐことだ。

肩は、荷物のバランスを取るために使う。

 

教えられた通りに荷物を詰めて、紐を締めるだけで、びっくりするほど荷物が軽くなった。

今まで散々重い思いをして荷物を担いできたのは、何だったのかと考えさせられる。

 

 
 
 

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