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北アルプスの山小屋で働く話46(放浪記487)

 

会話の終焉

 

Iちゃんは話すことを話して、スッキリしたかのように離れていった。

 

彼女としても僕を傷つけたくないという思いと嘘をつきたくないという思いとK君に好かれたいといいう思いの間でせめぎ合っていたようだ。

 

僕たちは距離を置いて歩きながら宴会場へと向かう。

 

色々な思いが頭をよぎり、混乱し、地に足がつかない。

 

 

宴会場

 

一方、宴会場は賑やかな雰囲気に満ちていた。

 

山小屋の仕事は無事に完全に終わり、誰一人死人も怪我人も出すことなく、会社としては大きな利益をあげることができたので社長としても万々歳だ。

 

社長の音頭とともに宴会が始まる。

それぞれがそれぞれにお酒を注ぎ合い、日々の感謝を述べ合う。

 

僕はこう言った日本の伝統文化的な風習に触れるのが初めてだったので少し驚いたが、やってみると気持ちのいいもので、お酒を相手に注ぐことで気持ちよく感謝の念を表すことができた。

 

 

上機嫌

 

社長は全てうまくいっているので上機嫌なのは当たり前だ。

 

従業員としてはかなり搾取されているが、それでも手元にしっかりとお金が残っているので、全てが終わった今となっては皆がホクホク顔だ。

ストレスのカケラも見当たらない。

 

山小屋の仕事は、家賃も食費もかからず、お金を使うところすらないので、どれだけしんどくともしっかりと貯金できるのはありがたいことだ。

 

特に、僕のように学歴もコネも資格も経験も何もない人間が、たった数ヶ月働くだけで何十万円も貯金できる機会はなかなかない。

 

それでいて、自然の中で気持ちのいい人たちと共に働き、仕事終了後にはムキムキに鍛えられている。

 

旅人としては再び旅に出るために、数ヶ月働いた後に仕事を辞める必要がある。

それは言い出しづらいものだし、申し訳ないものでもあるが、山小屋に関しては誰もが11月に仕事を終えるので、全く問題にならない。

 

 
 
 

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