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北アルプスの山小屋で働く話7(自叙伝448)

 

山小屋の歴史

 

山小屋での日々がすぎるにつれて、他のバイトの人たちと仲良くなり、色々な話が漏れ聞こえてくる。

特に社長に関する噂話は奇妙なものが多かった。

 

この社長の祖父は、趣味の人だった。

自然を愛し、山を愛し抜いた。

その思いが高じて小さな山小屋を建てて、山小屋の運営が始まった。

 

その初代社長の息子、2代目社長も趣味の人だった。

芸術を好み、自然を愛した。

 

彼は初代社長の苦労を知っていたので、山での労働の価値を知っていた。

従業員を気遣い、従業員とともに山小屋を築き上げた。

 

 

3代目社長

 

2代目の芸術家社長の息子が、現社長である3代目社長だ。

 

往々にして3代目の代表者は曲者である。

 

3代目社長や3代目殿様というのは、先代の苦労を知らぬゆえに、先代の意思とは全く異なった方向へ進みがちだ。

 

さらには幼少期から社長息子として育てられることで、物質的な豊かさを持つゆえに、心底から人を信頼できなくなったりしている。

 

 

経営の神様

 

この小屋の社長も同じような経緯をたどったのかもしれない。

 

社長としての責任と重圧からか、力強い導きを必要としていたのだろうか。

この社長は経営の神様と呼ばれる市倉定という人の熱心な信奉者へとなっていく。

 

その信条は、社長がとことん稼ぐことが、会社や社員の幸せにつながるというもので、その解釈を極端に推し進めた3代目社長により、従業員からの労働搾取が成り立っていた。

 

その経営信条は、毎朝の昌和に繋がり、床磨きの環境整備に繋がり、平均15時間という労働時間につながっていた。

 

そんな無理のある厳しい労働環境だったが、見事な経営信条による洗脳により、誰も文句を言わない環境が成り立っていた。

 

山と自然の自由さに憧れて街を離れた初代社長の意志は、2代目3代目と変遷することで、金儲けの道具へと変化して行っていた。

 

これは、搾取される従業員には溜まったものではないが、そこから大金を得る社長一家と快適な宿泊を過ごせるお客さんにとっては、大きな利を生み出していた。

 

 
 
 

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