サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話20(放浪記408)

 

恋愛関係

 

10人の共同生活において、僕とIちゃん以外は全員が独り身だった。

 

ガンドルフさんに至っては、つい先日に離婚したばかりだ。

 

それぞれが潜在意識的に恋愛関係への希望を持っていたのではないかと思う。

 

10人のうちの男女比率は7対3と圧倒的に男性が多い。

女性に有利な環境だ。

 

そんな中で最初に恋愛関係が発展したのが、Oちゃんだ。

 

 

Oちゃんの相手

 

普通に考えると、Oちゃんの相手は、その後に一緒に旅したりできそうなYくんやMくんあたりが妥当な線だ。

だが、驚いたことに、なんと最年少でモロッコ人のAくんと恋愛関係に発展していった。

 

そもそも、二人は共通の言葉を持っていない。

一般的な感覚では、文化も育ちも言葉も違う関係同士で深い仲になろうとは思わない。

 

だが、そもそもOちゃんはそういった概念からも自由だったのだと思う。

感覚で通じるものがあったのだろうかして、二人は急速に仲を深めていく。

 

僕とIちゃんは小屋の外に張ったテントで寝ていたので、よく知らなかったが、後になって聞いたところによると、夜中にガサガサモソモソやっていて、周りの人はよく眠れなかったらしい。

 

Aくんの世話係を担当しているガンドルフさんは、そのことをどう感じたのだろうか?

 

おそらくイスラム国のモロッコで育ったAくんにとっては初の恋愛体験であり、初の性的な体験だったと思う。

 

いくら、モロッコ人ヒッピーの両親に育てられたとはいえ、Oちゃんとの自由恋愛の関係は衝撃的だっただろう。

 

行く末は全く見えなくとも、若い二人を止めるものは何も存在しなかった。

 

 
 
 
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