自転車で沖縄へ向かう話4(放浪記498)

 

港へ

 


生まれて初めての道路沿いの野宿だったが、緊張や恐怖よりも開放感が圧倒した。


僕は、そそくさと寝袋をしまい、キャンプマットを畳んで自転車の鞄へと詰め込んだ。


夜明け直後の朝靄の中、自転車に跨り、山道を流れ下る。

12月の早朝に自転車で山道を降りるのはかなり寒いが、爽快感は半端ない。


和歌山の街へ着く頃には日も昇り暖かくなり始めていた。


地図を頼りに港へと向かう。


港が見える頃には、海の近さを感じ、フェリーや漁船が目に入る。

いよいよ旅が始まった実感が強まっていく。


港に着き、フェリーのチケットを買う。

フェリーは15分ほどで出発するらしい。


空き時間にコンビニで朝ごはんを買い、腹ごしらえを済ませる。


日本では、どこへ行ってもコンビニがあるので、水や食料に困ることはなさそうだ。

 

 

 

徳島へ

 


僕の自転車を乗せて出発したフェリーは、徳島へと向けて船出する。


この瞬間までは、実家から自転車で1日の距離だったので、実家に戻ろうと思えばいつでも戻ることができた。

だが、こうやってフェリーに乗って陸地を離れると、後戻りする選択肢は完全に消えて、沖縄へ向けて突き進むのみとなった。


しばらくすると、四国の陸地が見え始める。


自転車という人力での移動をしていると、海の向こうの陸地に対する感覚は、江戸時代の人たちが感じていたような異国の地といった趣を持ち始める。

街も海も陸地も等身大に感じ取ることができる。

 

 

四国

 


フェリーが到着し、僕は生まれて初めて四国の大地に足を踏み入れた。


生まれ育った大阪と四国は、極端な話、海を挟んで隣同士なのだが、交流はあまりない。

四国の人が大阪に来ることは、稀にあるかもしれないが、大阪の人が四国に行く理由は、観光くらいしかない。


四国、徳島についてみて感じたのが、この土地は実際に観光に向いているということだった。


四国側に着いた途端に、空気感が一気に変化したのを感じる。

何というか、12月なのに暖かく緩やかなのだ。


これから続く四国の自転車旅行に胸が踊る瞬間だ。

 


つづく。。。

 

前の記事 | 次の記事

 

 

当サイトは皆様の共有のおかげで成り立っています。

シェアをよろしくお願いします!

 

ホーム » 放浪記 » 自転車で沖縄へ向かう話4(放浪記498)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です