ジャグリング
僕は、この時期にデビルスティックと言うジャグリングの一種に出会う。
これは両手に細長い棒を持ち、一本の棒を空中で打ちながら落とさずに回したりして遊ぶものだ。
Rさんがフリーマーケットで見つけてきた物を借りて遊んでいたら、その面白さにハマってしまった。
一旦ハマりだすと、面白すぎて止めることができない。
スティックの流れに自分の体の動きをシンクロさせることで、波に乗るかのような、集中してゾーンに入るかのような心地よさがあった。
毎日何時間も遊びながら練習を続けた。
おそらく、才能があったのだろう。
僕は、3週間ほどの集中した練習をこなす事で、片手だけで一本の棒を30分ほど落とさずに回し続けられるようになった。
更にはリズムに合わせて回転させることも覚え、しまいには音楽に合わせて回転させつつ踊れるようになった。
この成果には自分でも驚いた。
僕は、子供の時から病気がちで貧弱で運動が苦手で大人しい子だったし、それが自分の個性だと思っていた。
実際に学校のマラソンでもいつも最下位周辺だったし、自分自身も家族も友人も全員が、僕には運動神経が無いと判断していた。
僕もその判断を信じ、自分自身の性格を作り上げてきたが、ここに来てまさかの”実は運動出来る説”が浮上してきた。
そう思えるほどにデビルスティックの技術が上達していた。
僕の演技を見た人の誰もが驚いたし、その驚きに対して僕も驚いていた。
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