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放浪記036

タイ旅行でカルチャーショックをうける話3(放浪記036)

スリタヌ

 
 
 
フェリーは港に着き、タクシーに乗り換える。
 
 
 
僕たちが向かったのは、スリタヌと呼ばれる地区で、ジャングルとビーチ以外には何もないど田舎。
 
ど田舎と言うよりも、大自然と言う方が適切かもしれない。
 
 
 
ビーチ沿いに数件のゲストハウス兼レストランがあり、各ゲストハウス内には数件のバンガローが建っていた。
 
小さな雑貨屋が一軒ある以外には何もなく、南の島のビーチを楽しむには最高の場所だ。
 
 
 
日本で言うところの家とか宿とか言う感覚とは大きくかけ離れており、掘っ建て小屋とか物置といった方が、わかりやすいようなバンガローがビーチ沿いの林の下に並んでいる。
 
 
 
一応鍵をかけることができるが、あまり意味はない。
 
泥棒の心配などは、全く無いようだ。
 
 
 
一泊あたり約三百円ほどで泊まれるので、長期滞在してのんびりしたい旅人たちが世界中から集まっていた。
 
 
 
日本を出て数日で、あっという間に旅人たちの中心地まで来てしまった。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
バンガローもレストランも、かなり雑で質素な造りで必要最低限以外のものは何もない感じ。
 
物はないが、それ以外のものは最高に満ち足りている。
 
 
 
バンガローからビーチまで20メートルほどの距離。
 
真っ白な砂浜と真っ青な空。
 
 
 
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3月といえども既に真夏で、海水は暖かかった。
 
僕たちはバンガローに荷物を置き、海パンに履き替えて海に飛び込んだ。
 
 
 
透明な水、弾けるしぶき、降り注ぐ太陽。
 
 
 
今までに感じたことのない爽快感が、全身を駆け抜ける。
 
 
 
自由、解放感、自然。
 
 
 
排気ガスに曇る冬の大阪の都心部からやってきた、心のよじれた映画オタクの僕にはあまりにも衝撃的で、眩しすぎる実体験だった。
 
 
 
 
 
 

ビーチライフ

 
 
 
昼間はハンモックに揺られながら本を読んでのんびりし、暑くなったら海で泳いで、お腹が空いたらレストランに行って食べる。
 
 
 
旅の先輩のIさん曰く、こう言ったゲストハウスは、部屋代を安くする代わりにレストランで稼いでいるので、街で食べるよりもゲストハウス内で食べることで、彼らを支援することができると言っていた。
 
 
 
どちらにしろゲストハウスの場所が、島の奥地すぎて簡単には街に行けないので、ゲストハウスで食べることになるのだが、レストランには従業員が一人しかいなく、その上留守にしていることがしょっちゅうある。
 
 
 
お腹が空いているけど、人がいないし困ったなと思っていると、友人のTさんはズカズカとレストランの中に入っていき、自分で勝手にフライドライスを作りだした。
 
Tさん曰く、あとでメニュー通りの値段を払えば問題ないという。
 
 
 
Blog36-2
 
 
 
手際よく作って美味しそうに食べている。
 
 
 
ここでは僕が今まで育って来た日本の常識とは、かなり異なった価値観が展開されていた。
 
先輩旅人の気楽さに衝撃を受けたが、僕にはとても真似できそうもないので、従業員が帰ってくるのを待って注文した。
 
 
 
 
 
 

断髪式

 
 
 
せっかく暖かいところへ来たのだからと、伸び始めていた僕の丸坊主頭を再度丸め直すことにした。
 
一緒に来ていたAくんに、ハサミとT字カミソリを渡して断髪式をしてもらった。
 
 
 
だが素人に他人の頭を剃るとかは、難しかったのかもしれない。
 
途中で失敗して頭皮を傷つけてしまい、断髪式は中断。
 
 
 
一部の髪の毛は短く、一部は長いまま、一部は綺麗に剃れており一部は血が出ている。
 
まだらになった髪の毛の間に覗く頭皮から血が滲み出て、まるで怪物のような展開になってしまった。
 
 
 
友人たちは爆笑しているが、こっちはたまったものではない。
 
 
 
怪我が治るまではどうしようもないので、ほったらかしにして海で泳いでいると、今度は髪を短く切った部分の頭皮が直射日光にあたり、日焼けして赤く腫れ上がって来た。
 
 
 
さらに数日経つと皮がめくれて来て、怪物感がどんどんと増していく。
 
 
 
まだらの髪の毛の間にのぞいた皮膚は赤く腫れ上がり、皮が剥がれ落ちて目も当てられない状態。
 
 
 
皮がはがれ落ちるまでは散髪もできないような状態で、最初は笑っていた友人たちも、これはさすがに人前に出られるような見た目ではないと判断して、仕方なくタオルを頭に巻いて日々を過ごすことになった。
 
 
 
 
 
 
つづく。。。
 

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