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自転車で沖縄へ向かう話6(放浪記500)

 

かまぼこ

 


新鮮なみかんを頬張った後に、美味しいうどんを食べることが出来たのは幸せなことだったが、僕を真に驚かせたのはかまぼこだった。

まさか、かまぼこを食べて驚くことがあるということ自体が驚きの事実だが、僕は実際に驚いた。


子供の時はかまぼこやちくわといった練製品があまり好きではなかった。

その理由の一つは、うちで作る”うどん”も”おでん”も常に薄味で、子供の僕の舌には退屈なものだったというのがあるかもしれない。

 

 

別次元

 


だが、四国で食べるかまぼこは全くの別次元の存在だった。


それは、美味しかったのである。

プリッとした新鮮な歯応えの後に、じわっと染み出す魚の旨み。


この時初めて、かまぼこというのはプラスチックやゴムの塊ではなく、魚を使った食品なのだということを理解した。

そして、それは美味しいものなのである。


僕にとっては、常に脇役で、一度も興味を持つことのなかったかまぼこだったが、ここで一気に意味のある存在に昇格した。


かまぼこの美味しさの感動は、うどん定食全ての美味しさを格上げして、この定食屋の評価を格上げして、四国の評価を格上げした。


かまぼこの一切れのおかげで、四国に来てよかった、自転車で旅をしてよかったと、全てが報われた思いがした。

 

 

温泉

 


僕は室戸岬へと向けて自転車を漕ぐ。


海が好きなので、海沿いを走って沖縄へ向かおうという考えだ。

それに、海沿いなら平地が続くので、坂道を登る必要もない。


適当なところに温泉を見つけたので、この日は温泉に浸かって1日を終えることにした。

四国は温泉が各所にあるので、毎日温泉に入り続けることもできそうだ。


温泉に浸かって体を癒した後は、温泉の裏の空き地にテントを貼って休むことにした。


本州では、国道のそばにテントをはって寝るというのは、何かしら危険なものを感じさせられたが、四国に来てからはそんな不安は一気に消し飛んだ。


四国には何か旅人を落ち着かせるものがあった。

 


つづく。。。

 

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