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サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話10(放浪記398)

 

食事

 

みんなが起き出してきた頃に誰かが朝食を作る。

 

当番制とかではなく、お腹がすいた頃に誰かが作るといった感じだ。

だから誰も気が向かないと朝食の代わりに昼食になったりもするが、誰も時間に追われているわけではないので、大した問題ではなかったりもする。

 

基本的には全員が必要な仕事に対しての責任があるのだが、料理に自信のあるYくんかOちゃんが担当することが多かった。

 

他の人は、食後の食器を洗ったり、片付けをしたり、街へ食料を買い出しに行ったりして貢献していた。

 

ガンドルフさんは、食費の提供と皆の教育係のような立ち位置だ。

 

 

 

僕たちは全体として何をしたいのかははっきりとしていなかったが、Cさんが小屋の横に畑を作り始めた。

確かに、お金を消費して日々を食い繋ぐだけよりも、自分たちで食料を作ることができたらどんなにか素晴らしいだろう。

 

Cさんが耕した2メートル四方ほどの土地ににんじんのヘタやら、果物のタネやらを植えてみたが、翌日にはからっからに乾燥して、即席ミイラができてしまう。

 

燃えるような直射日光の降り注ぐ、赤い瓦礫の砂漠に畑を作ることを想像してみてほしい。

カチカチに固まり、生物の生息していない土地。

 

まあ、はっきり言ってそんな場所に畑を作ることなど無理なのである。

 

あまりにも無謀で、叶う望みのないCさんの野望は数日後には潰えていた。

 

 

Cさん

 

フランス人の旅人のCさんは、フランスでは農場で働き、自然と密着した生き方をしているが、畑の人ではなくて牧場の人である。

 

彼はその人生の多くを動物たちとともに暮らしてきた。

夏は牧場で働き、冬は旅をするという生活だ。

 

彼の今年の冬の選択は、モロッコのフェスティバルで世紀超えをするというものだった。

 

通常、サイトランスやゴアトランスのフェスティバルに来るひとは、近未来的で最先端の文化人が多いが、Cさんは全くの正反対で、非常に素朴な田舎人の個性を持っている。

だからこそガンドルフさんに気に入られ、この砂漠での共同生活に招待されたという部分もある。

 

 
 
 
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