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ヒマラヤ山脈の温泉村の話11(自叙伝188)

 

Cくん

 

ゴアからの友人で、バシシトへやってきた友人の一人がCくんだ。

 

ゴアで一緒に遊んでいた友人たちは、皆が皆、漫画のキャラクターのように強烈に個性の強い人たちだが、Cくんはその中でも群を抜いて個性を光らせていた。

 

彼は常に自身の内面世界や精神世界、未知の世界へと目が向いており、その世界をより深めて行くことにのみ興味を持っている。

 

その情熱は彼を「月間ムー」などのオカルト系の雑誌へと誘い、その中でも特に神秘、妖、龍神、陰陽師などのキーワードに激しく感応していた。

 

 

Cくんスタイル

 

そして、その興味の対象は彼の外観として現れる。

 

彼の基本色は黒に一部の藍色で統一されていた。

そこに、忍者風のアレンジが加わり、黒の地下足袋に黒のカンフーパンツを履き、頭にはサムライ風のハチマキを巻く。

上着は時によってまちまちだが、基本色の黒から外れる事はまず無い。

 

彼は隠密の世界が好きで、忍者的な影に隠れるような格好をしているが、夜中ならまだしも昼間にはその真っ黒な格好は、周りのインドの日常と比べると浮きに浮きまくっていて、常に人目をひく。

 

独特の個性でバッチリと極まったスタイルで行動するCくんは、その立ち居振る舞いから誰からも一目を置かれることが多かった。

 

 

Cくんの性格

 

彼に対して興味を持った各国の旅人から声をかけられるのだが、Cくんはその目立つ格好に反して、服装の本来の意図に沿った隠密的性格をしており、会話をするのがあまり好きでは無い。

 

彼は極度に物静かな性格で、複数人での会話に参加する事は滅多に無い。

複数人であっても話を振れば返事が返ってくるし、人と集うのが嫌いというわけでは無い。

 

それとは逆に1対1の会話では、彼の興味の対象である異次元の話や鵺や麒麟や水晶の話になると、途端に饒舌になる。

彼の話し方は饒舌になっても決して雑になったり無礼になったりする事はなく、常にサムライの節制を備えていて、どんな時でも誰に対しても敬語で対応していた。

 

旅人同士の間柄では、上下関係のような社会のしきたりを嫌う人が多く、年齢の開きがあってもタメ口で話し合うのが普通だ。

僕は人類皆兄弟と見ていて、どんなに年上でも目上でもタメ口で話すことを信条にしていた。

 

僕のタメ口を受け入れることのできない心の狭い大人たちとは関わる必要がないと考えていた。

なんとも生意気な若造だが、それが僕の信条だった。

 

だがCくんは全く逆で、常に誰に対しても優しい敬語で、押し付けるようなところが無く、彼の抜きん出た個性と相まって、統一された美しさを放っていた。

 

 
 
 

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