交渉
僕たちにはまともに払うお金がないと言うことを説明し、一泊当たり約300円ならまとめて払うことができると伝えた。
僕たちは宿を必要としていたわけではなかったから、強気の交渉である。
マネージャーは僕たちを気に入ってくれていたと言うこともあるのだろうが、渋々約300円の案を飲んでくれた。
僕たちも、一日300円なら払えるよねと言うことで納得した。
さらにはおまけとして、ホテルに所属している持ち運び可能なガスストーブを使わせてもらえることになった。
こうしたわけで、砂漠の入り口のホテルでの生活が始まった。
砂漠の街
僕たちは完全にキャンプするつもりで心構えをしていたが、まだしばらく快適なホテル暮らしが続くことに安堵していた。
新しいことに挑戦する必要もないし、砂漠の街の暮らしを楽しんでいたら、しばらくするとフェスティバルが始まる。
予期してはいなかったが、悪くないアイデアだった。
街に行き、ちょっとしたキッチン道具を揃える。
包丁とまな板、鍋やスプーンなどだ。
街の景色
通りすがりのツーリストでは気づかなくても、住むつもりになって街に入り込んでみると、色々な氣づきがある。
僕たちを捉えたのは、ありとあらゆるスパイスに漬け込まれたオリーブのピクルスだった。
こここそが産地なので、当たり前だがとんでもなく安い。
そして、元フランスの植民地だけあって、パンが美味しい。
インドで食べるパンや、イギリスのスーパーで買うパンなどと比べてもはるかに美味しい。
外側はしっかりと焼き上がり、内側はしっとりふっくらと言った感じだ。
そんなパンが、毎日焼き上がってくる。
ただのパンとオリーブのピクルスだけだが、それだけでも最高に美味しかった。