モロッコで21世紀を迎える話33(放浪記376)

 

フェスティバル初日

 

フェスティバル会場についてキャンプを始めたものの、フェスティバルの開始は遅れていて待てども待てども何も始まらない。

 

たった数日前に全ての建築物が全壊したことを知っている身としては、文句を言わずに待つだけだ。

ヨーロッパの質の高いフェスティバルを経験している客からは不満の声が聞こえてくる。

 実際にフライヤーに書かれている約束とは話が違うこともあった。

 

本来ならば飲水が無限に無料で提供されるはずが、お金がかかったりしていた。

砂漠においては水は命綱で、熱い日差しの中で踊って汗をかく状況では水の重要度は何倍にも増す。

これには僕も文句を言いたかったが、運営に関わっている立場上、不満を飲み込んで過ごした。

 

 

開始

 

5時間ほどの遅れの後にやっと初日のステージが始まった。

 

時間が押しまくっていたので、開会式などは省略されて、ミュージシャンのライブからフェスティバルは始まった。

最初のバンドは、テクノのリズムに打楽器を組み合わせたライブバンドで初っ端から勢いよく盛り上げている。

 

僕たちも大いに汗をかいて踊り楽しんだ。

この分だと良い感じのフェスティバルになりそうだ。

 

本来は客としてこのフェスティバルに来ていたが、既にあまりにも深く関わりすぎていて、純粋に楽しむことはできなくなっていた。

自分がどう楽しむかよりも、他の客がどう楽しんでいるかの方が気になって仕方がない。

 

見渡す限りは笑顔が溢れているので、一安心した。

 

 

キャンプ

 

初日のイベントは、時間が押していたので大したことなく終わったが、これからの数日を期待させるものだったので、満足してテントへと帰った。

 

夜になり空を見上げると、ものすごい量の星が光っている。

街の灯りで見えなくなっていた星たちは、砂漠の真ん中では輝きを取り戻す。

 

夜空に光る星たちと、小さな灯を灯すテントたちの姿は美しい対照的な絵柄を映し出していた。

 

 
 
 
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