モロッコで21世紀を迎える話34(放浪記377)

 

砂漠の朝

 

砂漠に降り注ぐ熱い日差しの下ではテントの中で寝続けることはできなかった。

 

テントの外に出ると、自分たちのいる島と周りを取り囲む湖が見渡せる。

僕たちはとにかく美しい絶景のど真ん中にいた。

 

そんな美しい景色の中から、張り裂けるような怒声が飛んできた。

トラックで旅しているカップルが朝から大喧嘩をしているようだ。

 

僕たちがキャンプしていたチルアウトエリアは、メインのキャンプエリアからは離れていて、基本的には関係者かフェスティバルのキャンプルールを破った人たちだけがキャンプしている。

なので全体的に個性の濃い旅人の雰囲気が満ちている。

 

朝から怒声を響かせているカップルの個性も半端なものではなかった。

 

 

ワイルドな男性

 

カップルの男性の方には数日前のホテルでのパーティーで出会っていた。

 

彼は以前に何度か砂漠を馬で旅したことがあったらしく、砂漠での生活は自分に似合っていると言っている。

 

その言葉はまんざら嘘でもないような、半端なくワイルドな風貌をしている。

簡単に言うと北斗の拳に出てくる悪役のような感じだ。

 

ドレッドロックスの髪型と顔中に空いた巨大なピアスがその存在を主張している。

彼のドレッドロックスは、美容院で仕上げられたような小綺麗なものではなく、砂漠での生活の中で自然と固まったような髪型だ。

 

どこからどう見ても社会に適応できるとは思えない個性が吹き出している。

どうやって旅の資金を捻出しているのかは謎だが、彼を見ているとお金など必要ないのかもと思わせる貫禄がある。

 

 

さらにワイルドな女性

 

カップルの男性も半端なくワイルドだが、カップルの女性の方はそれを上回っていた。

 

怒声を張り上げていたのは、ワイルドで悪役ヅラの男性ではなく、それを上回るワイルドさの女性だった。

 

女性にしては大柄な体に、腰まである厳ついドレッドロックスをぶら下げている。

髪の色が赤毛なので見た目の派手やかさは半端なものではない。

 

髪の毛にはいろいろなアクセサリーがついていて、おでこのあたりには星型の髪飾りが垂れ下がっていて、強烈な個性を主張している。

 

僕が今までに見たどの女性よりも明らかにワイルドだったし、比較できる存在といえばジャニス・ジョプリンしかいなかった。

 

だが、彼女の個性と存在感はジャニス・ジョプリンを超えているように思えた。

 
 
 
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